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前宮で建御柱、4本が天を突く

2016年5月5日

前宮一*

 諏訪大社上社御柱祭里曳き2日目の4日は絶好の「おんばしら日和」。ゴールデンウイーク中とあって、建御柱の行われた前宮、柱が境内まで曳きつけられた本宮ともに多くの氏子や観光客が訪れ、周囲一帯は人の波が揺れた。きょう5日は、本宮で4本の建御柱が行われる。
 富士見・金沢地区の前宮一は午前8時45分ころから冠落しの神事が始まり、茅野市玉川神之原の山作り衆が朱塗りの柄の神斧(かみおの)を、諏訪市中洲神宮寺の宮大工の棟りょうが手斧(ちょうな)を入れた。続いて斧衆が木っ端を飛ばしながら勢いよく斧を入れ、約2時間かけて先端を三角すい状に整えた。
 七五三巻きが施された後、建てるための綱や足場などを準備。休憩に合わせてはしご乗りや長持などセレモニーが行われ、午後2時20分から建御柱が始まった。木やりとラッパ、鼓笛が響き渡る中、車地(しゃち)で綱が巻かれ、「よいとーまーけ」の掛け声で徐々に高さが増した。てっぺん男をはじめ、氏子41人を鈴なりに乗せてゆっくりと立ち上がる雄姿に、氏子と観光客もくぎ付けになった。
 午後3時15分ころに垂直に建立すると、ひときわ大きな歓声に包まれた。続いて中洲中金子の氏子による穴埋めの儀。カラーテープとシャボン玉が飛ぶ中、「ここに集う氏子の心」などと書かれた横断幕が垂れると拍手喝采。宝投げも氏子たちに喜ばれた。
 前宮は午後4時半までに4本が立ち上がり、それぞれ趣向の凝ったセレモニーで、建御柱は感動のうちに閉幕した。
 本宮の4本は、境内に向けて終日曳行。狭い東参道では、軒先をかすめそうなほどの曳行。やぐらの上の観光客の目の前を、めどてこに乗った氏子が「よいさ!よいさ!」と声を上げ、雄姿を見せた。
 更に難所である大鳥居を通り抜ける場面では、調整を加えながらすれすれで通過。見事な技量に大きな歓声と拍手が起きた。午後7時すぎには全ての柱が建御柱位置に曳きつけられた。
 好転に恵まれた同日。前宮では一帯を埋め尽くすほどの人出があり、諏訪大社御柱祭雑踏警備本部では、午後1時ころから雑踏事故防止にと役員以外の氏子も入場規制対象とした。
(写真は、建御柱で徐々に曳き建てられる前宮一)