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絵本作家さとうわきこさんしのぶ 八ケ岳館でお別れ会

2024年4月25日


 「ばばばあちゃん」シリーズなどで知られる絵本作家で、3月28日に89歳で死去したさとうわきこさんのお別れ会が24日、さとうさんが主宰する原村の「八ケ岳小さな絵本美術館」で開かれた。さとうさんと長年の交流があった友人や出版関係者ら約100人が参列し、子どもだけでなく大人も楽しませる数多くの絵本を残した故人の冥福を祈った。
 さとうさんは東京都出身。1970年に福音館書店の雑誌「母の友」に、後にロングセラーとなる「せんたくかあちゃん」を発表した。77年発表の「ばばばあちゃん」シリーズと共に、現在も多くの子どもたちに親しまれている。90年に岡谷市長地権現町に「小さな絵本美術館」岡谷本館を創設。97年には分館として八ケ岳館を開設し、主宰者として児童文学や絵本に親しむ機会を数多くの人に届けてきた。
 お別れ会では、夫で美術館の館長でもある武井利喜さんが、最後の絵本として今月出版された「みちくさ」について「構想して32年目。わきこの努力のたまもの」と振り返り、参列者に感謝。元福音館書店編集者で、さとうさんと30年以上の交流があった男性(東京都)は「わきこさんの生活の中から自然に生まれた生き方や考え方が作品ににじみ出ている」と振り返った。
 同美術館が主催して長年続けている絵本セミナーに当初から関わってきたシンガーソングライターで「こどものうた研究所」を主宰する新沢としひこさん(東京都)は、電子ピアノの弾き語りで、「最後の絵本と偶然同じタイトル」という「みちくさ」など2曲を、伸びのある歌声で故人に捧げた。
 最後に参列者が故人の冥福を祈り代わる代わる献花。同館から参列者に、さとうさんが亡くなる2日前に描いたという「ばばばあちゃん」の絵などが思い出の品として贈られた。(写真は遺影とこれまでに出版された絵本が並ぶ祭壇に献花する参列者)