NEWS

国内初一対で発見「矢柄研磨器」国重文の指定目指す

2024年4月25日


 岡谷市教育委員会は本年度、岡谷丸山遺跡から2002年に出土した「矢柄研磨器」一対の国重要文化財指定を目指し、調査報告書の編集作業に着手する。縄文時代草創期の石器とみられ、対の発見は国内初、大きさも最大。研究者3人による調査で明らかになった成果をまとめ、年度内に県や国へ提出したい考えだ。
 現在の天竜町から中央町付近に当たる丸山遺跡からは縄文12棟、弥生2棟、平安1棟の遺構が出土し、縄文の石器や土器が最も多い。矢柄研磨器は7点発見し、うち2点が欠損のない完形。文化財指定を目指す一対は、長さ23センチ、最大幅8センチ、厚さ最大6センチ、重さ約1・4キロで、シベリアなどの大陸から渡ってきたと推測される。平らな面の中央に溝が入っており、二つ合わせて矢柄となる木の枝や竹を通し、前後に動かすことで真っすぐに整える道具とみられる。
 出土当時から、長和町の明治大学黒曜石研究センター特任教授の池谷信之さん、新潟県長岡市の県立博物館学芸課主任研究員の橋詰潤さん、群馬県の下仁田町自然史館長の中村由克さんがそれぞれ調査に当たっていた。今後は講演会などで指定要件の周知性を高めながら、専門家3人の資料を一冊の調査報告書に編集。500部製作し、一般販売も予定する。
 市教委では、考古資料として04年3月に指定有形文化財に指定。今回は県宝の申請もするが、最終目標は国重要文化財で、指定には4、5年かかる見込み。現在は複製品が岡谷美術考古館に飾られており、市生涯学習課は「発見以降、研究を進めていた。全国の人に知ってもらい、考古館に見に来てもらえれば」と期待する。
(写真は、岡谷美術考古館に飾られている矢柄研磨器の複製品)