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文化財保護 思い共有 岡屋考古館 定期開館開始

2024年4月22日


 一般社団法人大昔調査会(諏訪市)は21日、岡谷市本町1の岡屋(おかのや)考古館の定期開館を現地で始めた。初日は「想像以上」という約50人が来訪。文化財保護が叫ばれるようになる以前から、貴重な遺物を後世に残そうと奔走した先人の情熱を感じながら内外を見て回った。完成から60年以上が経過して建物の劣化が進む中、今後も11月まで毎月第3日曜日に公開し、保存に向けた機運をまずは民間から高めていきたい意向だ。
 館内では、同会の三上徹也副理事長や会員の坂間雄司さんが展示解説した。三上副理事長は、遺物が出土した岡屋遺跡が1955(昭和30)年の林道工事の際に発見され、62(同37)年に完成した考古館建設は保存会を中心とする「市民の寄付だった」と説明。当時の時代背景に触れ「まだ行政にも文化財保護の機運がなく、物も金もない時代。それでも民間で文化財を大切にしたい—と情熱をささげた先人の思いがこもった建物ということを忘れてはいけない」と強調した。
 現在は天井が剥落し、雨漏りもする状況にも触れて「行政が文化財保護に力を入れ始め、あちらこちらに立派な博物館ができるといつしか岡屋の存在は忘れ去られた」と指摘。映画の舞台になり、注目を集める旧市役所庁舎を引き合いに「岡谷にあるのはそれだけではない。岡屋は最も古く、最も小さい博物館かもしれない。今の至れり尽くせりの博物館もスタートはこうだったと、博物館の歴史を知る上でも意味がある」と語った。
 定期開館は昨年に続いて2年目。今回は繰り返し足を運んでもらえるよう、考古や寺社にまつわる「ミニトーク」も交えて「岡屋大昔DAY」として計画した。各回、解説付きの館内見学が午前9時半〜10時半、ミニトークが11時〜正午。いずれも無料。問い合わせは三上副理事長(電090・2204・2818)か、坂間さん(電090・6142・3533)へ。
(写真は、三上副理事長㊨の解説を聞きながら館内を見学する来館者)