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骨髄バンク長野ひまわりの会 県内に募金箱設置呼びかけ

2024年4月18日


 県内の骨髄バンクドナー登録説明員25人でつくる「NPO法人骨髄バンク長野ひまわりの会」は、経済的理由で造血細胞移植が困難な患者と家族を支援する募金活動を始めた。先駆けとなる募金箱を、笠原千夏子理事長(49)=諏訪市中洲=が闘病生活を共にした親友が眠る同市大和の寿量院に17日設置。「長野県から全国の患者を助けたい」と県内の公共施設や事業所などに募金箱を置いてほしいと呼びかける。 
 笠原さんは2012年10月に慢性骨髄性白血病を発症し、実弟から骨髄移植を受け社会復帰した。病室が一緒の2人と励まし会い闘病生活を送り、そのうち同市湯の脇の酒井尚美さん=当時(24)=は急性リンパ性白血病で翌年東京でドナー提供を受けたが拒絶反応があり、14年2月に郷里に戻ることなく息を引き取り、もう一人も他界した。
 「2人の死を無駄にしない」と笠原さんは、闘病中に「元気になったらバンクをつくろう」と一緒に描いた目標に向け、説明員の資格を取り16年に会を発足、一昨年は法人格を取得した。移動献血バスでの説明や学校で展開する「命のひまわり」活動などで当初全国最下位のドナー登録数は順位を上げている。
 募金箱は酒井さんの菩提(ぼだい)寺の坂村龍玄住職(69)の提案。子どもの頃はスケートに励み、社会に出て消防団員としても活躍した酒井さん。母の知美さん(65)も活動を後押しし「友人とも会えず東京で亡くなりかわいそうだった。一人でも救ってもらえればありがたい」と期待を寄せる。
 寄せられた浄財は「佐藤きち子記念・造血細胞移植患者支援基金」に寄付し、高額治療費を断念せず移植を受けてもらう。またドナー登録の若年層に関心を高めるための啓発物費用にも充てる。笠原さんは「患者は命懸けでドナーを待っている。店で釣り銭を入れてもらうだけで命が助かり、みんなが幸せになる」と話す。
(写真は、募金箱を設置した寿量院で協力を呼びかける(右から)笠原理事長、遺影を手にする酒井さん、募金箱を持つ坂村住職)