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「岡谷シルク」焦点 認証製品など一堂 蚕糸博物館で初の企画展

2024年3月22日


 岡谷蚕糸博物館で、初めて「岡谷シルク」に焦点を当てた企画展が開かれている。かつて製糸業で日本の近代化を支えた歴史を背景に、現在は養蚕から製糸、製品化まで一貫して市内でできる貴重な環境を生かし、新しいシルク文化の創出を推進。その成果として、諏訪実業高校の生徒が手がけたシルクドレスやブランド認証製品など約50点を並べ、岡谷ならではの「ものづくり」「人づくり」の精神を伝えている。5月12日(日)まで。
 大日本蚕糸会によると、国産生糸のシェアはわずか0.1%。市内では養蚕農家の三沢区民農園、宮坂製糸所、機織りや染めをする岡谷絹工房などが「岡谷産シルク」の生産に携わる。本展では養蚕、製糸、製品化を一年通して学ぶ市の事業「次世代担い手育成プログラム」で作ったストール、官民協働組織「岡谷シルクブランド協議会」が認証するブランド製品の「オール岡谷産シルク」の風呂敷やポケットチーフのほか、食品や化粧品などを飾る。
 諏訪実高の生徒は、博物館で製糸業の歴史、蚕の生態を学んで制作に当たったという。中東の民族衣装から着想した作品、マーメイドラインやきれいに膨らんだパフスリーブが特徴のドレスなど、シルク特有の光沢や白を生かした衣装を展示。「長い伝統の技術からできる岡谷産シルクの作品を作れて、とてもうれしい」「蚕の細い糸から、しっかりした布ができることに驚いた」などの生徒のコメントもパネルで並べた。
 同館学芸員は「こういった積み重ねがシルクを未来へつなげる第一歩になる」とし、「養蚕、製糸、製品化まで一貫してできる岡谷シルクの魅力を知ってほしい。衣類だけでなく、食品や美容製品もあるので、毎日の生活に活用してもらいたい」と話す。
 23日(土)は、「諏訪湖スワン」ワークショップとして、白鳥の繭人形を作る。午前9時半、午後1時半からの部があり、各回定員30人、参加費300円。4月13日(土)午前10時からは、ギャラリートークがある。定員30人で入館料が必要。
 イベントはいずれも予約が必要。午前9時〜午後5時。毎週水曜と祝日の翌日は休館。申し込み、問い合わせは同館(電0266・23・3489)へ。(写真は、諏訪実業高校の生徒が制作したシルクドレス)