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600年の伝統後世に 福与諏訪社 神事の「手引書」で引き継ぎ円滑化

2024年2月28日


 箕輪町の福与諏訪社総代会は、同神社で営まれる神事の意味合いや作法、準備の手順などをまとめた「手引書」を初めて作った。これまでほとんど口頭で行われてきた引き継ぎをスムーズにするため、2022、23年度の役員らが1年半を費やし文書化。「有効に活用され、600年の伝統が後世に残れば」と期待している。
 同神社の氏子は約200戸。総代は2年任期で一斉に入れ替わり、引き継ぎの資料も少ないため、役員が全体の運営や神事への奉仕に苦慮することが多かったという。
 22年度に「文書化されたものが必要だ」と手引の作成に着手。伊藤光森宮司や旧役員に聞き取りをしたり、70年前に作られた細則を読み解いたりしたが、「ゼロから言葉にするのは大変なこと」と骨を折った。内容は、神社の運営、神事の手引き、ことしコロナ禍から正式復活となる「鹿頭行列」、細則、規則の5部門。神事は参列する際の服装に始まり、流れや立ち位置、作法などの一連を文章や図、写真で説明した。
 祭りごとに異なる供え物の一覧表や準備の日程も掲載した。「買い物リスト」には、品目の量やサイズ、値段の目安まで載せ、卵は「10個入り、1パック」、野菜は「3〜4種類、三方の上で転がらないようなものがよい」などと、移住者や若い人、経験のない人でも困らないよう詳細に記した。
 A4判、一部カラーで50ページに集約し、次期総代、社務員の数と同じ20冊作った。田中祥二会長(76)は「神社は伝統を重んじる機関であり、一定の原則にのっとった神事をすることが総代の務め」とし、「口伝えで細かい理解のないまま進めてきたが、今後は手引書をベースにして伝統をつなぐと同時に、知恵を出し合って、どんどん良いものにしていってほしい」と話した。
(写真は、苦労して作った手引書を見る福与諏訪社総代会役員ら)