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中央デパート来月で閉店 町のにぎわい支えた「四ツ角の顔」消える 下諏訪町

2024年2月24日


 長年にわたり国道20号四ツ角交差点の「顔」として町民に親しまれてきた下諏訪町友之町の「中央デパート」(高木ちず子代表取締役社長)が、約74年の歴史に幕を下ろし、3月中旬で閉店する。下諏訪町が精密機械工業で栄えた高度経済成長期を中心に大勢の買い物客でにぎわい、諏訪大社下社秋宮へとつながる通りのシンボルでもあった。常連客らは閉店を残念がっている。
 高木社長の義父・故喜代夫さんが、戦後の1950(昭和25)年11月に創業。四ツ角交差点南西角にあった木造3階建ての2階までが店舗で、子ども服や肌着を含む衣料全般のほか、ひな人形や五月人形、装飾品も扱っていた。高木さんが2代目社長の故喜一郎さんと結婚した半世紀前は、「給料日になると(店の近くにあった)ヤシカ(現・京セラ長野岡谷工場)や三協精機製作所(現・ニデックインスツルメンツ)の社員で店がいっぱいになった。当時は従業員やアルバイトも使っていて、家族を合わせ11人位で接客していた」と懐かしむ。
 地域商業の発展にも貢献した喜一郎さんは50歳で死去。その後は高木社長が1人で切り盛りし、20年ほど前に建物を2階建てに建て替えた際、店舗も婦人服専門に刷新したが、創業時からの由緒ある名前は守り続け、喜一郎さんが関わった下諏訪向陽高校の制服をはじめ、町内小中学校運動着の取り扱いも最近まで継続してきたという。
 服飾会社(東京)の勤務経験がある高木社長が毎月、大阪などに出向いて直接仕入れていた婦人服は「デザインが斬新で、ほかの店に売っていないものが手に入る」と好評。富士見町など町外から毎月訪れていた常連グループは閉店を知り、「仲間と何年も通っていたから寂しい」と残念がった。
 高木さんは絵画制作が趣味で、県内や中央の美術会にも所属し、店内には自作の絵画などが飾られている。閉店に「皆さまに支えられ、これまで営業してこられた。ありがとうございました」と感謝し、「次へのステップアップとして、これからは自分の人生を歩みたい」と前向きな言葉も述べた。
 同店では閉店セールを開催中。期間は3月17日(日)までで、店内の商品がなくなり次第終了(閉店)する。
 営業は午前10時〜午後6時ごろ。水曜定休。問い合わせは同店(電27・8518)へ。(写真は、常連客にお勧めの洋服を示して接客する高木さん)