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困ったギンナンが宝に 仏法紹隆寺の大イチョウ

2024年2月23日


 大量の落ち葉とギンナンの処分に困っていた仏法紹隆寺(諏訪市四賀桑原)の大イチョウ。諏訪地域の事業所や障がい者福祉施設が連携し、ギンナンの販売、葉などの堆肥化やこれを使った稲作の仕組みを構築した「ありがとうが続くプロジェクト」が22日、その成果を同寺で発表した。市、商工会議所、宿泊・観光関係者約30人にギンナンご飯を振る舞い、課題を資源として価値を持たせ、地域を巻き込んだ循環するモデル作りをアピールした。
 同事業は、諏訪市産業連携事業補助金「コレパクト@SUWA(アットスワ)」の採択を受け、本年度取り組んだ。
 プロジェクトでは、同寺がギンナンと葉を提供し、特定非営利活動法人ふぉれすとの障害福祉サービス事業所「森の工房あかね舎」(諏訪市、井上成美施設長)がギンナンの回収と「諏訪七福ぎんなん」の商品化。川岸食糧企業組合(八木雅敏代表理事)が葉の堆肥で「夫婦大銀杏米」作り、アイ・コーポレーション(岡谷市)環境リサイクル事業部辰野営業所兼イイゴミステーション(出井晶所長)は果肉と葉で「諏訪七福堆肥」作りを試みる。
 同寺のイチョウは、中洲の諏訪上社大祝(おおほうり)諏方邸の「神のイチョウ」と夫婦とされ、寺境内にも雌雄のイチョウがある。ギンナンを食べると子孫繁栄や子授けのご利益があるとされるが、豊作だった2022年秋にはギンナン約500キロ、葉は軽トラック10台分以上を廃棄した。この状況を知ったクローバーデザイン(下諏訪町)の宮本総子代表取締役が諏訪地域の事業者や福祉施設を結び付け、22年秋に活動を始めた。
 川岸食糧企業組合は、岩崎住職の依頼で20年頃から安曇野市の契約農家で堆肥化を試みていた。昨秋は約1800キロを収穫、近く販売も始める。葉の腐りが遅い点に課題があり、昨年4月に新工場を稼動させた環境リサイクル事業部と連携を図っていく。あかね舎は「利用者ができることを広げていき、皆が活躍できる場になれば」と願う。
 試食会に参加した金子ゆかり市長は「地域の魅力掘り起こしやSDGsも視野に入れた試み。ビジネス面でも可能性がある。ぜひ継続させてほしい」と話した。ホテル紅やの唐澤豊明料飲部支配人は「ギンナンは前菜などに活用できそう。縁結びの物語性があるので、プラン化することで目的作りにも役立ちそう」と魅力を感じていた。岩崎住職は「地域の皆さんとつながり、伝承や物語を楽しんでもらいながら地域に活用され、より良くなれば本望」と今後の発展に期待する。(写真は披露された米やパンフレット)