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災害時トイレ無償貸与 若松 衛生環境悪化防止へ

2024年2月3日


 下諏訪町西鷹野町に本社がある住宅資材総合卸の若松は、諏訪地域で災害が発生した場合、水が不要で臭いも漏れにくいポータブルトイレを、被災者に無償で貸し出すことを決めた。能登半島地震で問題となっている被災地のトイレ環境の悪化を防ぎたいとの思いが発端。今後、行政などとの連携も模索していきたいとしている。
 貸し出すのは、建設資材レンタルの日本セイフティー(東京都千代田区)が開発した「ラップポン」。排せつ物を専用の凝固剤で処理し、防臭フィルムの袋を自動で熱圧着して密封。臭いや雑菌が漏れ出さないため衛生的で、水が要らず断水時でも利用できる。電気で駆動するが、専用バッテリーで長時間使用することが可能。同社は、同製品の販売代理店を務める県内唯一の企業。これまでも販売のほかに、リフォーム中の家庭などへ貸し出していた。
 元日に発生した能登半島地震では断水のため水洗トイレが使えず、長期間にわたり不衛生なトイレを使用せざるを得ない避難所が多数あったという。そうした状況を知った同社は、「地震や水害、土砂崩れなどで諏訪地域が被災した場合、ラップポンでトイレ環境を改善できる」と考え、無償貸し出しを決めた。
 災害時のトイレ問題は、被災者の健康に大きく影響。トイレが不衛生だと水や食料の摂取を控えがちになり、エコノミークラス症候群になったり、体力を低下させて感染症にかかったりしやすくなって、災害関連死につながるとのデータもある。同製品は東日本大震災など多数の被災地で使われた実績があり、能登半島地震の避難所でも感染症の拡大を防ぐ切り札になったという。同社の保有数は現在、数台規模だが、今後増やしていく計画で、栁平新一課長は「行政にも備蓄を働きかけていきたい」と話している。問い合わせは同社(電0266・28・9111)へ。(写真は災害時に無償貸し出しするラップポン)