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【日本童画大賞】絵本部門 オノガワアサコさん、タブローは歌さん受賞

2024年1月19日

 第12回「武井武雄記念日本童画大賞」(岡谷市、イルフ童画館主催)の審査結果が18日、発表された。「時」をテーマにしたタブロー(一枚絵)部門の大賞は歌さん(茨城県牛久市)の「オレンジ色に染まる頃」、絵本部門はオノガワアサコさん(東京都杉並区)の「あっぱれ!われらのてんぐさま」が受賞。「こども絵本」部門は、市内外の小中学生7人が選ばれた。
 歌さんの作品は、夕焼けを背景にした電車の中に、さまざまな年代の自身の家族を描いた。審査員の山岸吉郎館長は「電車の中にはいろいろな方の肖像画的なもの、背景には仏像や塔がある。絵としても面白くて表現能力が高く、大賞にふさわしい」と称賛。歌さんは取材に「家族の時間の変遷と、好きな時間帯の夕焼けを描いた。初めての応募だったので、大賞はまだ夢のよう」と話した。
 オノガワさんの作品は、鼻におできができて寝込んでしまった「おおてんぐさま」の物語。「こてんぐ」たちが何とか治そうとてんぐのうちわであおぐと、鼻だけが伸びて野山の道を進み始める—というストーリー。審査員で絵本画家の黒井健さんは「発想、ダイナミックさ、リズムに優れ、ページをめくる好奇心を最後まで引っ張る力がある」と評価。オノガワさんは取材に「大賞を取れると思っていなかったのでびっくり。武井さんはとても好きなので、名前が入った賞を頂けてすごくうれしい」と喜んだ。
 こども絵本は過去最高の応募数といい、山岸館長は「子どもの澄んだまなざしでものを見て素直に描いたもの、大人がなかなか考えつかない斬新な発想のもの、全て素晴らしかった」と絶賛。元々は三つの賞で各1点を選出予定だったが、「絞るのが難しく、複数与えてしまった」と笑っていた。
 同賞は市出身の童画家・武井武雄の童画の精神を継承し、新しい児童文化の創造を目指すため、1999年から開く。受賞入選作品などの原画や、応募者全員のダミー絵本の展示は2月9日(金)〜18日(日)、授賞式は同11日(日)午前11時から同館で。
 大賞以外のタブローと絵本、こども絵本の入賞者は次の皆さん。
【タブロー】
▽優秀賞=「穏やかな時間の中で」松本みさこ(岐阜県)
▽審査員特別賞=「ふしぎな時間」長野健司(神奈川県)「きみのいのちもぼくのいのちもぐるぐるぐるぐる」晴(山形県)「時をこえて」おのかつこ(東京都)
【絵本】
▽優秀賞=「リリーとローズのステキなまいにち」カコナココ(埼玉県)
▽審査員特別賞=「うみ」でみせてるこ(東京都)「ぎゅっと ぷりんッと」のふらもら(東京都)「うれしくってはずかしい」すずめようこ(兵庫県)
【こども絵本】
▽イルフ賞(中学生)=「さつまいも」赤羽結杏(辰野1)「THE・チキン」溝呂木和樹(岡谷北部1)「月がみたい」宮坂楓花(同)
▽ラムラム賞(小学4〜6年)=「クプルとサックラ」池田風子(大阪府吹田市片山4)「しあわせなねことぼく」宮坂音哉(小井川5)
▽赤ノッポ青ノッポ賞(小学1〜3年)=「星空ができたわけ」須長絃(軽井沢町中部3)「風船を追いかけて!」外山昴(山ノ内町西3)
(写真は、タブロー部門で大賞を受賞した歌さんの「オレンジ色に染まる頃」㊤、絵本部門で大賞を受賞したオノガワさんの「あっぱれ!われらのてんぐさま」)