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「日本一短い祭り」塩嶺御野立記念祭 岡谷と塩尻の友好深める

2023年10月17日


 記念碑に向かい、一礼するだけの「日本一短い」とされる祭り「塩嶺御野立記念祭」が16日、岡谷、塩尻両市境の塩嶺御野立公園であった。両市の行政や経済、観光関係者ら約140人が参列。明治天皇巡幸記念碑の前で15秒ほど頭を下げ、手を携えながら一層の友好と発展につなげていくことを誓った。
 明治天皇が1880(明治13)年6月24日に同所へ立ち寄ったのを後世へ伝えようと、当時の平野村と長地村(現岡谷市)、塩尻村と筑摩地村(現塩尻市)の有志が1915(大正4)年に石碑を建立し、翌年に記念祭を始めた。昭和天皇が47(昭和22)年に巡幸して以降、秋の例祭も加え、春は岡谷市、秋は塩尻市の当番で続ける。
 参列者は記念碑の前に並ぶと、慣例により「一同、礼」の発声とともに記念碑に向かって、こうべを垂れた。これまでは市議として参列し、市長になってから初めて臨んだ早出一真岡谷市長は「今までとは立ち位置も違い、少し緊張もした」と振り返り、「先人が築いた絆を更に深めていきたい」と語った。
 コロナ禍で3年間開けずにいた懇親会は、ことし春の例祭から再開し、今回も塩尻東地区センターで実施。当番市の百瀬敬塩尻市長は「国勢調査によると、一日に千人くらいが両市を行き来するほど関係は密接。塩尻峠を毎日、行き来して両市を発展させてきた先人に感謝する意味でも大切な祭り」などとあいさつした。
 テーブルには塩尻産のブドウやワイン、名物の「山賊焼」などがずらり。「乾杯」の発声を合図に出席者は和やかに杯を傾けていた。
(写真は、記念碑に向かって一礼する早出岡谷市長ら参列者)