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岡谷の盆に鼓動「復活」 太鼓まつり4年ぶりに

2023年8月15日

うえぶ太鼓
 市民祭、第54回「岡谷太鼓まつり」は13日に宵祭り、14日には本祭りがそれぞれ主会場のイルフプラザ平面駐車場などで開かれた。3年間、天地を突く響きがなかった「太鼓のまち」は4年ぶりの鼓動に包まれる本来の姿を取り戻し、打ち手や踊り手をはじめとした演者、実行委員会や企画委員会といった裏で支えるスタッフ、協賛社、市民など関わる全ての人の力を融合。2019年の第50回以降、止まっていた次の50年への新たな1ページがようやく刻まれ、万雷の響きや歓喜、感動とともに幕を閉じた。
 空白期間や、第50回を契機に祭りをつくり上げる立場の企画委、事務局などの体制が変わっていることなどを踏まえ、今回は「復活」を一つのテーマに設定。同駐車場に設けた間口約60メートルの「メーンステージ」は記念企画などがなく、最後の通常開催となった18年の第49回大会を基本にシナリオを組んだ。
 両日とも、岡谷太鼓保存会の開幕太鼓「飛天」でオープニング。コロナ禍を経て打ち手が減ったこともあり、今回は従前の「300人揃(そろ)い打ち」から「300人」の文言を外したものの、保存会加盟18団体の打ち手がそろい踏みする鼓曲は圧巻—。両日とも恒例の「まつり」で締めくくり、打ち手と観衆が一体となって盛り上がった。
 イルフプラザ童画館通り側出入り口に設置された特設ステージで、個人や団体が芸能を披露する「ふれあい広場」は演者のほか、太鼓体験では飛び入りの市民も加わり、市民祭を体現する光景が広がった。子ども・長持・みこしパレードはそれぞれ中心市街地を進み、沿道を盛り上げた。
 岡谷太鼓保存会、代表者部会長の原山日出男さん(54)は「第50回からようやく、本当の意味で新たな一歩を踏み出せた。更に60回、70回と積み重ねて進んでいきたい」と話した。踊りパレード「MINAKOIわっさか」に出場した湊小学校4年、山岡望さん(9)は「広い舞台で、たくさんの人が見ていて緊張したけれど頑張って踊れた」と笑顔だった。
 どの会場も盛り上がり、演者や観衆の笑顔、時には感動の涙も見られた祭り。企画委の笠原新太郎委員長(61)は「4年分の思いがこもり、関わる全ての人が『良かった』と心の底から感じられたと思う」と手応えを語り、「期せずして祭りが3年間、中止になったことで見つめ直す機会にもなった。新たな1ページが開けたのではないか」とうなずいた。
(写真は、本祭りで4年ぶりの「揃(そろ)い打ち」を響かせる岡谷太鼓保存会)