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岡谷市出身髙橋靖夫さん大作 引き取り手続々と

2023年8月1日

ネット用230730高橋靖夫遺作の行き先決まる
 2021年に83歳で亡くなった岡谷市出身の洋画家、髙橋靖夫さんのアトリエ(岡谷市銀座)に残る大作の行き場を探す遺族の思いに応え、引き取り手が続々と決まっている。二男の暖さん(53)によると6月、本紙が経過や無償譲渡の意向を紹介して以降、10件近くの問い合わせがあり、経済団体や金融機関、企業、学校などに飾られることになった。暖さんは「生前、父は絵描きの幸せは、作品が一人でも多くの目に触れることだと話していた。喜ぶ顔が目に浮かびます」と感謝する。
 7月30日、神明町3の水道建設5階にある柔道場。記事を見てすぐ遺族に連絡を取ったという同社の征矢壯社長(69)は、6月中旬にアトリエを訪ねて実物を目の当たりにして引き取り、この日、遺族らを招いて壁面に飾った作品を除幕してお披露目した。
 譲り受けたのは靖夫さんが晩年、「地にあるものたち」と題して制作したシリーズのうち、2014年の作品。P150号(2273ミリ×1620ミリ)を2枚組み合わせた大作で、征矢社長自ら図面を引き、加工、組み立てをした特製の額に入れた。
 暖さんと妻の恭子さん(51)、長男の潤樹さん(18)、二男の創哉さん(15)がひもを引いて作品が現れると、征矢社長や同所を練習会場にする市柔道協会の関係者など出席者からは、拍手が起こった。
 征矢社長は自身も小学生の時から柔道に取り組み、その中で協会の立ち上げにも関わった父・才さんから「柔道の一番の目的は、子どもたちを心身共に育てることと言われてきた。この絵を見て、ここで学ぶ子どもが何かを感じてくれたら」と願った。
 靖夫さんは、神奈川県に拠点を置く一方で市内のアトリエにも頻繁に通って創作活動をした。室内には多数の遺作が残っており、遺族はこのうち大作約30点の寄贈先を探している。
 (写真は、征矢社長特製の額に入れられた靖夫さんの作品を見る遺族ら=7月30日、水道建設5階柔道場で)