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子どもたちの笑顔糧に 進工機械製作所 ミニSL出張運転や部品製作

2023年7月3日

ミニSL
 下諏訪町東豊に工場がある進工機械製作所(本社・社東町、松澤竜也代表取締役)は、イベントなどで子どもたちを乗せて走らせる「ミニSL(蒸気機関車)」の出張運転や、部品製作を受注するユニークな事業を展開している。新型コロナウイルスが感染法上の「5類」に移行され、「子どもたちの喜ぶ顔が見られる」と再び依頼が増えることを期待する。
 同社の松澤重さん(78)=社東町=が30年ほど前、日本工業大学(埼玉県)で開かれたミニSLのイベントに参加し、70、80歳代の人が子どものような表情で大学構内に敷かれたレールの上を走らせている姿に、「こんな面白いものがあるんだ」と感動したのが切っかけ。大阪府内にあったメーカーから部品を取り寄せ、7.5インチ(約19センチ)幅のSLとバッテリーで動く車両(人がまたがって乗る客車の部分除く)を組み立てた。
 1両の長さは1.5メートルほどにスケールダウンされているものの、石炭を燃やして発生した熱エネルギーで水(軟水)を沸騰させ、蒸気でシリンダーを動かす仕組みは本物と全く同じ。イベントなどで人を乗せて走らせると、レールとの摩擦で車輪がすぐに減るほか、水で金属部品が腐食してしまうため、フライスやマシニングセンターなどの機械加工で培った技術を生かし、車輪や部品を同社で自作してメンテナンスしている。
 部品補修のほか、走らせた後の煙突掃除や注油、蒸気をシリンダー内に送るタイミング調整などが欠かせず、200キロほどの重量になる機関部分は、運搬するのにクレーンが必要になるなど何かと手間はかかるが、「子どもたちはうれしくて、一度乗るとなかなか降りない」(松澤さん)と乗車した人の喜ぶ顔や、ミニSLを通じて知り合った人との交流を糧に事業を継続する。
 コロナ前は諏訪地方の夏祭りやイベントに度々呼ばれたが、昨年はサッカーJ3松本山雅FCのオープンに合わせて運転しただけ。コロナの規制が緩和されたことを受け、ミニSLを通じた交流が以前のように盛んになることを、松澤さんは願っている。
 問い合わせは、同社ミニSL部門(電0266・26・4041)へ。(写真は煙を上げて走るミニSLを運転する松澤さん=同社提供)