NEWS

かがくいひろし回顧展 人柄や作品の魅力紹介

2023年6月23日

ネット230622かがくいひろしの世界展
 イルフ童画館で9月16日(土)まで、累計発行部数900万部を超える「だるまさん」シリーズなどを手がけた絵本作家・かがくいひろしさん(1955〜2009年)の没後初となる回顧展が開かれている。シンプルながらも柔らかく、かわいらしいタッチで描かれた絵本原画や制作資料、映像記録など約300点を公開し、作品と人柄の魅力に迫る。
 東京学芸大学教育学部美術学科を卒業後、千葉県内の特別支援学校で28年間教べんを執った。障害がある児童と身近に接しながら、子どもたちを楽しませようと日々、アイデアノートを描きためて50歳で作家デビュー。がんで急逝するまでの4年間で絵本16冊を刊行した。
 作中には擬人化したキャラクターが多く、「だるまさん」では「どてっ」「ぷしゅー」「ぷっ」といった擬音語が多用され、子どもたちが思わず笑ってしまうような音と動きが伝わってくる。ひげが目立ついかめしい顔をした初期案、未完となった新シリーズのラフも並ぶ。「おもちのきもち」「もくもくやかん」など、「だるまさん」以外の絵本13冊の原画は会期中に前後編に分けて紹介する。
 会場には家族への手紙、養護学校の児童との合作など人柄や創作の根源がうかがえる資料も。常に持ち歩いたというアイデアノート81冊のうち、一冊には同館の名称と「日本童画大賞」とメモがあった。未完ラフの「せんぷうき とぶの?」は扇風機が必死に飛ぶ姿が、笑いを誘いながらも報われない切なさに「じっくり見ると苦しいくらいに迫ってくるものがあり、見応えがある」(同館学芸員)。
 同館学芸員は「どうしたら楽しいか、喜ぶかを追求し、思いを子どもたちに伝えるためにすごく考えて制作していた。作品を通して、人柄や個性を知ってもらいたい」と話す。
 岡谷市出身の童画家、武井武雄と親交が深かった大澤三武郎さんが収集した武井作品を並べる「大澤コレクション展」も同時開催。タブロー画(一枚絵)11点のほか、大澤さんが営んだ歯科医院のために描いた診察券や薬袋、擬人化された動物が歯を磨くポスターなどを飾る。
 25日(日)午後2時からは大澤さんの息子・武雄さん、元市長の林新一郎さんを招いたトークイベント。山岸吉郎館長が聞き手となり、武井と三武郎さんとの交流、戦前の武井の活動、コレクションをどのように集めたかなどを話す。
 トークイベントは参加無料で、要事前申し込み。開館時間は午前9時〜午後6時。毎週水曜と展示替えの8月1日(火)〜4日(金)は休館。
 申し込み、問い合わせは同館(電0266・24・3319)へ。
 (写真は、絵本「だるまさん」シリーズの原画)