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絵の世界 織物で再現 西陣美術織伊藤若冲展

2023年4月8日

HP230406西陣美術織伊藤若冲展
 織物で名作の数々を再現した「西陣美術織 伊藤若冲展」(西陣美術織若冲全国巡回展実行委員会主催)が10日(月)まで、茅野市民館で開かれている。絵師、伊藤若冲の作品を超微細な表現が特徴の西陣美術織で再現した約作品を含む、約70点を展示。来場者は織物ならではの立体感と迫力を感じながら、若冲の世界観を楽しんでいる。
 西陣美術織は、帯の製造で長い歴史を持つ織元、西陣美術織工房(京都府)が生み出した技術。通常の3分の1の太さの絹糸を使い、1色の経(たて)糸に対して、15色ほどの緯(よこ)糸で細密な点描のように絵柄を表現していく。下準備から織り上げるまで一つの作品で約半年、織りの工程だけでも2カ月を要する。
 作品制作は、技術の向上と伝承のため年以上前から取り組む。今回の作品は、伊藤若冲生誕300年と西陣織誕生550年を記念して制作。全国を巡回し、これまで300カ所以上で展示してきたという。
 江戸中期、京都の問屋に生まれた若冲は後半生を絵師として過ごし、鶏をはじめとする動植物の細密画やモザイクのようなデザイン性の高い作品を制作。「奇想の画家」として現在でも人気を博す。展示では、自筆の「釈迦三尊像」を守り飾るために描いたといわれる「動植綵絵」や、升目描きを用いた「鳥獣花木図屏風」が並ぶ。
 展覧会を楽しみにしていたという茅野市内の女性は「若冲の絵も、織りの表現力も素晴らしい」と笑顔で鑑賞。西陣美術織工房の吉村昌人さん(京都府)は「本当に細かい織りなので、ぜひ会場に足を運んで見ていただけたら」と話している。
 入場無料。午前10時〜午後5時(最終日は4時)。問い合わせは、同委員会(電075・548・7505)へ。
(写真は、若冲の作品を再現した作品が並ぶ会場)