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諏訪湖の水でクラフトビール 地元会社が連携し醸造

2022年6月22日

ビール
 25日(土)初開催の「スワコエイトピークスミドルトライアスロン大会」に合わせ、諏訪湖の水を使ったクラフトビール「S8(エスハチ)」が完成した。茅野市金沢に工場を構える総合バルブメーカー、キッツ(本社・千葉市)グループ会社の浄化技術でろ過し、同市北山のクラフトビール製造会社、エイトピークスが醸造。「思ったより水質が良かった」という諏訪湖水の絶妙なミネラル分が作用し、フルーティーな香りを醸し出す爽やかな味わいに仕上がった。瓶詰(330ミリリットル)で1000本用意し、大会参加者に記念品として配布する。
 「泳げる諏訪湖」の実現を目指し、諏訪湖のスイムコース2キロを組み込んだ同大会。大会実行委員会からその湖の水を使ってビールを造ってみては—という案が挙がり、エイトピークス代表の齋藤由馬さん(32)が醸造を打診された。競艇湖の浄化に向けて大会関係者がキッツ茅野工場を訪れた際に案内した縁でグループ会社、東洋バルヴ環境事業推進部の片倉俊浩さん(38)が橋渡し役になった。
 県の許可を得て、試作に向けた1回目の採水を2020年秋に実施。完成品を試飲した実行委員からは「悪くない」との反応だったことから計画を進め、ことし5月に本格的に採水。グループ会社のキッツマイクロフィルター(本社・茅野市金沢)が製造する一般家庭や飲食店用の浄水器を用いて、諏訪湖の特性が生きる必要なミネラル分は残しつつ、有害な菌は除去した。
 キッツ執行役員(新規事業開発室長)で、キッツマイクロフィルター元社長の平島孝人さん(62)は「家庭用浄水器でも浄化できるレベルの水質で、思ったよりいい水だったのが意外な驚きで発見だった」と話す。大会趣旨に賛同し、「単なるトライアスロンだけでなく、地域の自然を見直すという思いに共感した。湖の水を飲むという意外性が、諏訪湖創生につながるとうれしい」と願う。
 ホップは八ケ岳山麓産を使用し、「諏訪湖と八ケ岳、諏訪6市町村の二つのランドマークが一つになった」と齋藤さん。将来的には商品化も視野に「泳げる諏訪湖を維持するのが最終的な目標とするならば、来年以降もおいしいビールを造り続けることが、湖の浄化にもつながる」と展望する。(写真は、諏訪湖の水で仕上げたビールと使用した浄水器。諏訪湖の頭文字と八ケ岳にちなんで「S8」と名付け、ラベルは山並みと諏訪湖の波をイメージ)