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下社山出し開幕 車両で4本注連掛へ

2022年4月9日

下ろされる秋四
 諏訪大社御柱祭の下社山出しが8日、始まった。新型コロナウイルス感染拡大防止で、2日に行われた上社山出しと同様に人力での曳行は中止。最大の見せ場「木落し」も行わず、日程も本来の3日間から2日間に短縮した。初日は秋宮と春宮(共に下諏訪町)に曳き建てる春宮四と春宮三、秋宮二と秋宮四を載せたトレーラーにそれぞれ役員が帯同して隊列を組み、棚木場(同町大平)から注連掛(同町東町上)に届けた。きょう9日には残る4本が里へ下る。
 通常の曳き出しと同じ順番で午前、午後に2本ずつ運搬。午前便となった春宮四と春宮三、午後便の秋宮二と秋宮四とも出発式に先立って「綱渡り神事」を営み、運搬の無事を祈願した。クレーンで御柱を積み込むと、トレーラーが出発した。本来の曳行路をほぼ踏襲し、木落し坂を迂回(うかい)しつつ注連掛までの約5キロを約2時間かけて進んだ。
 氏子は、柱1本に対し約70人が参加して隊列を組んだ。旗持ちを先頭に元綱やてこ、追掛綱などの係、大御幣奉持者が車両を挟み、難所の「萩倉の大曲がり」や迂回路のヘアピンカーブなどは慎重に運んだ。車両が一時停止すると木やりが鳴き、運搬を後押しし、「よいさ、よいさ」と掛け声が響いた。
 御柱が集落を抜ける同町萩倉地区では、地域住民らが出迎えた。第六区御柱祭実行委員会が事前に配ったおんべを手に沿道に立つと、隊列に向かって振り、大木を写真に収めた。太鼓を打って盛り上げたり、帯同する氏子を花笠踊りで歓迎したり、集落は活気づいた。
 トレーラーが注連掛へ到着すると、安全確保のため作業者以外は規制線の外へ出てクレーンで御柱が下ろされる様子を見守った。各柱が所定の位置にそろうと、「山の神返し」の木やり唄が響き、万歳や三三七拍子で喜びを分かち合った。
 下社の大総代でつくる御柱祭下社三地区連絡会議の小林正夫会長(72)=諏訪市大和=は「思いのほかスムーズにできた。人数を絞ることに苦労したと思うが、氏子の代表として奉仕していた」と振り返り、「9日は春宮一、秋宮一の大きい柱を運ぶ。初日のように運搬できれば最高だと思っている」と話した。
(写真は、クレーンで所定の位置に下ろされる秋宮四=代表撮影))