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打ち上げ実験「100%成功」 SUWA小型ロケットプロジェクト

2022年3月21日

 岡谷、諏訪、茅野、下諏訪、原の5市町村が信州大学に事業委託する「SUWA小型ロケットプロジェクト」は20日、6号機の打ち上げ実験を諏訪湖で行った。速報値では約9秒で高度約325メートルに到達し、初めて搭載した模擬人工衛星を空中で放出。いずれも無事に回収し、プロジェクトマネジャーで信大工学部の中山昇准教授は2年ぶりの実験を「100%成功」と評価した。
 機体は全長約2.05メートル、直径10.2センチで、酸化剤燃料を除く重さは8・91キロ。諏訪地域の小中学生が描いたイラストなどをあしらった。材料は5号機が炭素繊維強化プラスチックが主だったのに対し、6号機は加工しやすく安価というガラス繊維強化プラスチックを多く採用。エンジンは5号機と同じで、固体燃料は樹脂の「ポリプロピレン」、液体燃料は亜酸化窒素を使うハイブリット型。
 将来的な目標とする「マッハ超え」へ、先端部分の「ノーズコーン」は宇宙航空研究開発機構(JAXA)での風洞実験を経て空気抵抗の小さい形状を採用した。模擬人工衛星はペイロード(缶サット)と呼ばれる直径8センチ、高さ12センチの円柱形。中には諏訪市公認キャラクター「諏訪姫」の人形を入れ、カメラも搭載して湖面へ落下する様子を撮影した。
 岡谷市湖畔公園多目的広場から南南東へ約700メートル沖合に、台船を配置。諏訪地域の事業所などに勤めるメンバーら約30人が午前6時から準備を進め、予定通り同10時に発射。1.5秒ほどで最高速度の秒速約100メートルに到達。約27秒後に発射点から東へおよそ216メートルの地点に着水し、船で回収した。
 中山准教授は「『諏訪湖での打ち上げるロケットの完成形』としてペイロードの放出、回収に成功した」と手応えを話し、風洞実験を踏まえた機体形状の効果は「これから解析を進めていく」とした。プロジェクトリーダーの高木大和さん(42)=岡谷市神明町、丸眞製作所=は「コロナで集まって活動するのが難しい中、個人の力を出し切って成功させることができた」と喜びを語った。
(写真は、回収した機体を確かめるメンバー)