NEWS

諏訪市の幕岩景観改善完成へ  遊歩道も整備、案内板設置

2025年12月9日


 諏訪市四賀普門寺の鉄平石採掘跡、幕岩地域景観改善に取り組む「東山地域里山活性化プロジェクト(PJ)」(伊藤為幸代表、21人)は7日、下方の旧跡、古岩久保を経由して県道諏訪茅野線から幕岩までを結ぶ遊歩道の散策を助ける「幕岩公園探検・散策マップ」の案内看板を設置した。2023年度から3年間を費やして整備を重ねた事業は、これでほぼ完了。関係者は新たな景勝地となって、訪問者でにぎわうことを願っている。
 同事業の核になった幕岩は、文化・文政(1804〜29年)から昭和中期まで鉄平石採掘が行われた産業遺産とも言える場所。しかし、不法投棄が行われるなど荒廃が進んでいた。PJはこの場所を景勝地に変えたいと、2023、24年度は雑木を処理して2カ所の広場や進入路を整備。第1広場に休憩所や仮設トイレ、ベンチ、第2広場には04年諏訪大社上社御柱祭の本宮一の払い下げ木を活用した展望デッキを設けた。入り口付近に「幕岩公園」の石碑を設置、桜やモミジを植樹し、憩える環境を整えた。
 これと並行して、下方にある史跡、古岩久保との連携にも着目。県道側から約500メートル間の参道を再整備し、本年度は古岩久保と幕岩をつなぐ幅約60センチの遊歩道約800メートルを開削した。散策ができるように案内看板のデザインを清水町で設計事務所を営む宮坂佐知子さんに依頼した。
 看板はアルミの複合板製の90センチ四方。幕岩公園や古岩久保の写真や解説、遊歩道のルートを記した。この日は20人ほどが設置作業に当たり、コンクリートで作った基礎の上に設けた2本の鉄パイプに固定した。風による倒木で作業が遅れ、公園内2カ所の設置は14日(日)へ延期した。
 伊藤代表(65)は「はじめは雲をつかむような感じでスタートを切った。5年はかかると思ったが、さまざまな協力があって、予想以上に早くできあがった。いろいろな出会いがあったことも成果だった」と振り返る。知名度が次第に高まり、整備後の幕岩公園に訪れる人は増えている。「一帯は野鳥も豊富だし、近隣にも史跡が存在する。周辺まで散策を拡大してもらえる情報を提供したい。今後も県道沿いにモミジを植栽して、東山活性化の活動を継続したい」と、まだまだ先を見据える。
 (写真は、古岩久保参道に設置された案内看板)