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上伊那の天竜川で「ざざ虫漁」始まる
2025年12月2日
伊那谷の冬の風物詩「ざざ虫漁」が1日、上伊那地域の天竜川で解禁された。初日は許可を受けた天竜川漁業協同組合(伊那市)の組合員2人が、市内の浅瀬に出漁。川底の石をくわでひっくり返し、石から離れた虫を川下に設置した網で受け止めた。
ざざ虫はカワゲラやトビケラ、ヘビトンボを中心とした水生昆虫の幼虫の総称。上伊那地域では昔から冬場のタンパク源として、つくだ煮などで食べる風習がある。現在は高級珍味として扱われ、地元の飲食店や土産物店で提供されている。
漁を続けて約50年という中村昭彦さん(81)=同市=は気温0度、水温7度の中、汗を流した。四つ手網を川底に仕掛けると、次々に虫が網の中に。「大雨が少なく、川の状態はいい。(昨期に比べ)虫も多い」と手応えを感じた。
今季の漁は来年2月末まで。中村さんは20〜25日間、漁に出る予定といい「ざざ虫漁はここにしかない文化。伊那谷の食文化を守るためにも、頑張っていきたい。頑張っている姿を見て、漁をやりたいという人が増えてほしい」と張り切っていた。
同漁協によると三、四十年ほど前のピーク時には70人が漁をしていたが、高齢化などの理由で減少し、現在は10人ほど。漁師の減少に加え、コンクリート護岸による川の流れの変化やここ数年の異常気象も重なり、一時は3トンほどだった漁獲高は平年で150キロまで落ちているという。
漁の様子を見た伊藤伸一組合長(56)は「伊那谷の伝統として続いているざざ虫漁だが、漁師の高齢化で、捕れる数は減ってきている。漁協でも漁師を育成し、末永くこの伝統を継承していきたい」と話した。
市は本年度、ざざ虫漁を市無形民俗文化財として指定した。継承への機運を高めるのが狙い。漁を手伝った白鳥孝市長は「ざざ虫のつくだ煮は冬の伊那の味。水中昆虫を食べるというのは世界でも珍しい。守っていければ」と話した。
(写真は、ざざ虫を網ですくう中村さん)
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