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石並べ文字描く野外展 宮坂了作さんが茅野で作品公開

2025年11月27日


 現代芸術家の宮坂了作(本名・正次)さん(75)=諏訪市小和田南=は野外展「石 いし イシ」を茅野市宮川で開いている。白いキャンバスに石を並べ、131カ国語の「石」を意味する言葉を描いた。自らを「百姓」と名乗る宮坂さんは「草の中に埋もれて自然に交わるアート。見てみれば、何か感じるものがあると思う」と話した。展示期間は12月10日(水)まで。
 コンセプチュアル・アート(概念芸術)に取り組む宮坂さんは、日本大学芸術学部から米国カリフォルニア芸術大学に編入。偶然性を重視する表現形式「ハプニング」を芸術家アラン・カプロー(1927〜2006年)に学んだ。
 今回展示するのは3年がかりで制作した大作。1枚のキャンバスの大きさは縦約60センチ、横約70センチで、石を下地材に埋め込んで文字を描いた。会場はスカイシープロジェクト合同会社の無人航空機教習所の一角。雑草が生い茂る休耕田でありながらも、131枚のキャンバスを整然と並べた。
 農業を営む宮坂さんは、田植え作業から着想を得たという。毎日午後5時になると、発光ダイオード(LED)ライト40基が点灯し、作品が夜の闇に浮かび上がる。宮川の対岸を走る国道20号の明かりが借景のように展示を引き立たせる。
 これまで「土に土で土と描く」「水に水を注ぐ」といった表現を地域で続けてきた。「石」を意味する言葉を131カ国語にした背景には「グローバルの時代に、日本語と英語だけでいいのか」という問題意識もある。
 会場では1978年制作「極点」、ザ・ビートルズの曲にちなんだ2008年制作「8days a week」も紹介する。
 展示期間は約1カ月間で「ゆがんだりカビが生えたりしてくる。これも自然だ」と宮坂さん。大地を構成する石をアート作品にして「原点がしっかりしていれば流行に左右されない」と力を込めた。
 入場無料。時間は午前10時〜午後8時。雨天でも鑑賞できる。会場は茅野市宮川の坂室信号近くで、駐車場にのぼり旗を設置している。問い合わせは宮坂さん(電090・1995・2110)へ。(写真は野外展示を開いた宮坂さん。手前の作品には、アイスランド語で石を意味する「steini」と書かれている)