NEWS

「ドローイング」に焦点 岡谷美術考古館で辰野登恵子さん作品展 

2025年10月1日


 岡谷市出身の画家、辰野登恵子さん(1950〜2014年)の作品を集めた特別企画展が、岡谷美術考古館で開かれている。抽象的な油彩や版画で知られるが、本展では主に線で描く絵画「ドローイング」に焦点を当て、遺族から借り受けた28点を公開。日本の現代美術をけん引した表現の魅力に迫る。
 辰野さんは東京芸術大学美術学部油彩科油画専攻卒、同大学院修了。1995年には当時、史上最年少で東京国立近代美術館(東京都)で個展を開いた。岡谷美術考古館が辰野さんの展覧会を開くのは2019年の没後5年展以来。昨年で没後10年を迎えたことを受けて企画した。
 「どこにでもあるものたちのどこにもない世界」と題し、原稿用紙や敷き詰められたタイル、竹林など身の回りに実際にあるものから着想を得た作品が並ぶ。似たモチーフで描かれた油彩や版画もあり、学芸員の宇治美弥子さんは「ドローイングで積み重ねた表現が生かされている」とする。
 抽象的な作品を分かりやすく体験してもらおうと、解説文も充実させたという。宇治さんは「めったに公開されないドローイングの美しい色合いやスピード感のあるタッチ、頭の中にどんなものを浮かべて制作したのかを解説を見ながら感じてほしい」と話す。
 19日(日)まで。午前10時〜午後6時。水曜と祝日の翌日は休館。入館料は一般580円、小中学生290円。諏訪地域在住、在学の小中学生と市内在住、在学の高校生は無料。問い合わせは同館(電0266・22・5854)へ。
(写真は、辰野さんのドローイング作品が並ぶ会場)