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新聞連載の挿絵など武井武雄の貴重な新収蔵作品並ぶ イルフ童画館で
2025年9月25日
イルフ童画館は、昨年度新たに収蔵した岡谷市出身の童画家・武井武雄(1894〜1983年)の作品を公開している。朝日新聞で1963年に連載された「新・人国記」の挿絵とカット計20点。同館にほとんどないという岡谷や諏訪地域を描写した作品も含まれる。同館は「貴重な歴史資料」とし、研究にも役立てていくとする。
郷土の有名人などを取り上げた連載といい、長野県シリーズ15回分の挿絵を武井が手がけた。県内各地の風景や風俗、建物などを主にインクで描いている。諏訪湖の御神渡りや、岡谷の工女とみられる絵もある。カットは5点で七夕びな、ライチョウなどがモチーフになっている。
古書店に出ているのを市が購入し、同館が収蔵した。武井が挿絵を担当した経過は分からないというが、同館学芸員の河西見佳さんは、作品が描かれた戦後を「大きなタブロー(一枚絵)も手がけるなど脂が乗っていた時期」とする。
同館によると、約6000点の武井作品を収蔵しているが、諏訪地域を直接モチーフにしているのは諏訪湖を描いた版画1点のみだった。童画家として幻想の世界を描くことが多かったがゆえ、県内の風景を描写したものは少ないという。河西さんは「市民やイルフのファンに武井が県、諏訪のものを描いていたことを見てほしい」とする。
企画展「武井武雄がつくった組織と仲間たち展」と同時開催で、10月5日(日)まで。開館時間は午前9時〜午後6時(受け付けは5時半)。水曜休館。入館料は520円(中高生310円、小学生160円)。問い合わせは同館(電0266・24・3319)へ。
(写真は、武井が描いた県内の風景などが並ぶ会場)