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諏訪市の市場食堂28日閉店へ 地元の人気店「燦」

2025年9月23日


 諏訪市湖南の諏訪市場内にある「市場食堂燦(さん)」が28日(日)をもって閉店する。海鮮丼やあなご重などが人気の店だったが、施設老朽化もあり継続が難しいと判断した。店主の畠山龍昭さん(73)=茅野市豊平=は「考えてみると思い出はいろいろ。やっぱりさみしい思いはあるね」と語った。
 中洲で飲食店を経営していた畠山さんは、2017年に市場食堂を引き継ぎ、同年10月から「燦」の屋号で営業。市場関係者だけでなく、リーズナブルでおいしい店として一般客にも親しまれていた。
営業時間は午前7時半〜午後2時で、仕込み作業は未明から。特に冬場は防寒インナーに使い捨てカイロを貼り、午前3時から肉や魚をさばいた。畠山さんは「今となれば、冬のつらさも思い出だね」と振り返った。
 テレビ番組で紹介され、長蛇の列ができた時代もあった。コロナ禍を乗り越えたものの、近年は米価格や光熱費が高騰。開店当初550円で始めた日替わり定食を700円に値上げしたが、コスト高に追い付かず苦境が続いていたという。
 閉店を聞きつけた客から「来るのが楽しみだった」「これからも元気で」といった声をかけられた。改めて「こんな風に思ってくれる人たちが、こんなにいたんだ」と感謝の気持ちを抱いた。
 今月は金、土、日曜日に限って営業している。最終日も午前7時半に店を開く予定で、畠山さんは「さみしい気持ちだけれど、売り切れたら終わりだよ」と話していた。
 市場運営協議会は22日、食堂の退去を了承した。市場が開設された1974年にオープンした食堂だが、施設老朽化などのため、事業者の再募集は行わない方針という。
 委員長の柴田照夫三印社長(61)は「食堂は地元の人も利用しているという意見があったので、もう一回、多くの人が集まる場所にしていかないと。施設面を含めて課題はあるが、時代に合わせながら新しい未来を描いていきたい」と話した。(写真は市場食堂の思い出を語る畠山さん)