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諏訪湖でワカサギ投網漁が解禁 初日は31.3キロ水揚げ

2025年9月3日


 諏訪湖で2日、今季のワカサギ投網漁が解禁された。採卵量は増え始めたものの依然、推定量が少ないことから資源確保へ出漁時間は昨年に続き「2時間」とする。初日は湖周の漁師7人が日の出前から網を投げ入れ、昨年同期より8.2キロ多い計31.3キロを水揚げした。諏訪湖漁業協同組合(諏訪市)の藤森惠吉組合長(74)は「餌は少ないといわれていたが、多く取れた。個体も丸々太って脂乗りも良さそう」と笑みを浮かべた。
 同漁協によると、今季は産卵に重要な遡上(そじょう)を促すため砥川(下諏訪町)河口付近でしゅんせつを行った。かつて主としていた「シュロ枠孵化(ふか)方式」を約10年ぶりに実施したほか、2024年に導入した「付着沈性卵用孵化装置」も軌道に乗り始め、大幅な採卵量増加に成功したという。一方で県水産試験場諏訪支場(下諏訪町)が8月19日に行った調査では、資源量(ワカサギの個体数)が1135万尾だったことを総合的に踏まえ、出漁時間は当分の間、毎週火、金曜日の午前4時〜6時とする。
 この日、午前7時過ぎには水揚げされたばかりのワカサギが諏訪市渋崎の漁協市場に次々に持ち込まれた。漁師歴40年以上になるという男性(73)=同市=は、同市豊田の武井田川河口沖で20回ほど仕掛けを投げて13.27キロを取り、「近年にないくらいに取れた。ことしもワカサギが見られて良かった」と充実感を口にした。持ち込まれたワカサギは加盟する川魚店14店舗が買い付け、岡谷市の「濵丑川魚店」は5キロ分を仕入れた。濵守社長は「諏訪湖産がなくて入荷が待ち遠しかった。初物はお客さんも喜んでくれるはず。唐揚げにしたい」と笑顔を見せた。
 諏訪湖漁協は今春、採卵した8931万粒に野尻湖漁協(信濃町)からの購入分を合わせた計1億3631万粒を諏訪湖に放流しており、この日、漁獲されたほとんどが体長4.5センチ、体重1.38グラムの少公=当歳魚(とうさいぎょ)=だった。
 同漁協によると昨年は9月9日〜11月14日の期間中、計921.1キロが水揚げされた。今季の禁漁時期については「採卵は増えているが、自然ふ化はどれくらいあるのか見えない状況で、調査結果では少ない見通しが出ている。総量1トンを目安に様子を見ながら時期を決めたい」とした。
(写真は水揚げされたばかりのワカサギを確かめる藤森組合長=中=ら)