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無機質な造作物に彩り ララオカヤ壁面に市民参加でアート 諏訪ノ湖芸術祭へ制作開始

2025年8月31日


 9月19日(金)から21日(日)まで、岡谷市内で初開催される「諏訪ノ湖(すわのうみ)芸術祭」(実行委員会主催)へ、屋外空間にコラージュ作品を生み出す市民参加型企画「オ・ラ・ヤ・カ・ラ」の制作が30日、JR岡谷駅前の再開発ビル「ララオカヤ」の壁面で始まった。初日は応募した十数人が、実行委と共に現時点では想像もつかない完成図に思いを巡らせながら造作物に色を付けた。
 駅前の象徴として親しまれる一方、老朽化などで取り壊しが決まっている同ビルへのはなむけにするとともに、創造的な活動を通じて新たな交流の切っかけをつくろうと計画。60メートル×3メートルの南側1階壁面と、地面にある約50個の造作物を着色しアート作品にする。
 参加者は指定された色を使いつつ、濃淡や塗り方などの表現には個性を発揮して無機質な壁や鉄柱、タイル、マンホールなどを彩った。高校生まちづくり会議「Voice of AOHS」のメンバー(17)は将来、岡谷の活性化に関わる仕事がしたいといい、「そのための良い経験になるのでは」と参加。「ここは人通りも多いので、見る方の気持ちが明るくなるような作品にしたい」と話した。
 作業中は道行く人も立ち止まったり、思わず「やってみたい」と声を上げたりする人も。山本麻琴実行委員長(44)は「通り過ぎるだけだった場所にこうしてまた人が集まり、ララでの時間をもう一度つくれるようになれば」、アートディレクターの草間茂樹さん(54)も「色を塗る行為を通じて、市民の思いが表出して会話が生まれる。これは逆にララから私たちへの最後の贈り物」と笑顔を見せた。
 作業はきょう31日、9月6(土)7(日)両日の計4日間。展示期間は13日(土)からで、作品は建物が取り壊されるまで残す。
 (写真は、壁面の造作物に色を塗る参加者)