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「飛龍」いざ修繕の地へ 石川県で片面の皮張り替え

2025年8月30日


 市民祭、第56回「岡谷太鼓まつり」の閉幕を受け、本年度で予定される直径2000ミリの平胴太鼓「飛龍2000」の修繕事業が本格化する。28日夕には、岡谷市や岡谷商工会議所職員、事業を請け負う諏訪響太鼓店(神明町)の関係者ら十数人で市役所から運び出し、トラックに積み込んだ。平胴太鼓は修繕の地・石川県へと向かい、皮の張り替えを経て来年2月末までには戻ってくる見通し。
 飛龍は2000年のミレニアムを記念し、市民の寄付で製作。太鼓まつりでは間口60メートルの「メーンステージ」の中央、最上段に鎮座して象徴としての役割を担う一方、雨に降られたり、打ち手が渾身(こんしん)の力で打ったりを繰り返すうち皮面の劣化が進んでいた。
 こうした状況の中、まつり実行委員会の企画委員会で部会長を務めるJR岡谷駅長の紹介で、東日本鉄道文化財団(東京都)の助成事業に申請。まずは片面を張り替えることとし、市や商議所、まつり実行委、岡谷太鼓保存会で5月に修繕事業実行委を発足させた。
 運び出し作業では、祭り閉幕後も市役所1階で来庁者に余韻を伝えてきた飛龍を横たえ、正面玄関を経て車両に載せた。
 作業場所は、諏訪響太鼓店とも関わりのある石川県の製造業者が太鼓の皮に適した牛を所有しているため同県になったという。実際の作業もこの業者が担うといい、諏訪響太鼓店役員の古屋邦夫さんは「太鼓に張れるよう、皮を加工するだけでも相当の時間がかかると思う」と見通す。
 古屋さんは、同社が飛龍を製作する際に中心を担ったという。全国的に見ても大型のため「当時も皮は一人で持てないほど大きかった」と振り返り、「我々も定期的に訪ねて過程を見守る。飛龍は祭りの目玉でもあり、次回もまた良い音を響かせてくれるようにしたい」と話している。
(写真は、石川県に向かうため、車両に積み込まれる「飛龍2000」)