NEWS
間伐材でクラフトビール 茅野のyasoがメーカーと共同で
2025年8月22日
茅野市を拠点に森林資源を利活用し、商品開発や販売、企画提案を行う「yaso(ヤソ)」と、クラフトビールメーカー「ヤッホーブルーイング」(軽井沢町)は、同市の間伐材を使ったクラフトビール「Forest Echo IPA」を共同開発した。ヤソで商品企画・開発を行う蒸留家の猿渡凜太郎さん(26)=兵庫県出身、富士見町在住=は「木そのものの香りを生かした画期的で、樹木の可能性が開けるビールができた。第2、3弾と続いていけたら」と展望する。
ヤソは地元の林業事業者と提携し、間伐や剪定(せんてい)の過程で発生する枝葉を利用。精油や香、ハンドソープなどの日用品にして販売する。従前は費用をかけて廃棄されていたものを素材とし、自然に還元する循環サイクルを目指しつつ、森の価値を高めることで林業が抱える担い手不足、木材価格の低下、里山荒廃などの課題解決を目指す。
共同制作は2月に福岡県であった展示会で猿渡さんと、ヤッホーブルーイングの社員との出会いが切っかけ。猿渡さんによると、「一緒に何かできたら」と意気投合。ヤソの森林資源を生かす取り組みにも共感してもらい、4月に「長野の樹木を生かしたビールを造りたい」と連絡があり、実現したという。
開発は、ヤソの看板商品という精油を作る過程で出る副産物「芳香蒸留水」を主役に進めた。蒸留水は一部の商品で利用していたが、「大半は捨てていて有効活用できていなかった」と猿渡さん。ヤッホー側の「蒸留水を新たな麦酒造りの素材として活用したい」意向を受け、両社でさまざまな樹木の蒸留水を幾度となくブレンド、試飲して完成させた。
今回のビールは茅野市蓼科産のカラマツ、シラカバ、クロモジの枝葉とユズ果皮から抽出した蒸留水に、ホップ由来のフルーティーな香りを重ねて製造。猿渡さんは「市販のピルスナーとは違う香りと共に、森を感じてもらえたら」と期待する。
あす2会場で開栓イベント
ヤソとヤッホーブルーイングは23日(土)、長野と東京の2会場で、完成したクラフトビール「Forest Echo IPA」の開栓イベントを実施。長野会場は午前時〜午後4時、茅野市の東急リゾートタウン蓼科内のカフェ&ショップ「EMMA’s FOOD&GROCERY(エマズフード&グロサリー)」、東京会場は午後1時〜4時、港区の「YONA YONA BEER WORKS青山店」で開く。
長野会場は出来たてのビール(1杯350ミリリットル1000円)=80杯限定=、蒸留水を使った「おつまみプレート」や総菜(いずれも有料)を用意し、店内と屋外の芝生エリアで堪能してもらう。午後2時からは「森とクラフトビールの未来」をテーマに猿渡さんとヤッホーブルーイングの開発担当者の田上峻さん、同市でクラフトビールを製造販売するエイトピークスの齋藤由馬社長による特別対談も予定する。入場無料。
ヤソの黒澤祐美ディレクター(38)は「ビールを切っかけに森の資源に興味をもってもらえたら。多くの人に味わってほしい」と来場を歓迎する。催しに関する問い合わせはヤソ(メールpress@yaso.jp)へ。(写真は完成したばかりのクラフトビール「Forest Echo IPA」を手にする猿渡さん)