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見えないものの力を感じ取って 「諏訪芸術祭」23、24日 下諏訪町旧岡村邸で
2025年8月20日
太古からの歴史と自然が息づき、諏訪大社や古刹(こさつ)、さまざまな史跡がある諏訪に引き寄せられた芸術家が中心となり、23(土)24(日)両日、「諏訪芸術祭」(同実行委員会主催、下諏訪町、町教育委員会、市民新聞グループなど後援)が五官にある旧岡村邸で開かれる。会場は高島藩で代々、鷹匠を務めた岡村家の屋敷跡。見えないが、そこに確かに存在している力(パワー)のようなものを、アートを通して感じ取ってほしい—と来場を呼びかけている。
来年度以降の本格開催に向けた「プレ・展示」と位置付け、越後妻有「大地の芸術祭」や「BIWAKOビエンナーレ」などに出品する現代芸術家の石川雷太さん(茨城県)と、高野山真言宗僧侶で美術や舞台表現などの分野で幅広く活躍する羅入(らじゅ)さん、日印文化交流ネットワーク事務局長で、大学などで仏教、東洋思想などの講義を開いている堀内伸二さん(高木)が中心となって企画。昨年、下諏訪宿本陣・岩波家などで開いたアートで見えないものの力を感じ取るシリーズの第3弾として開く。
両日とも午前10時から午後7時まで開催。旧岡村邸の趣ある部屋、蔵、庭などを使い、石川さんや羅入さんをはじめ、場の力を写し撮る写真表現の篠原誠司さん、フランス人キュレーターのアレクサンドル・タリバさんの作品、堀内さんによる江戸中期の禅僧「白隠禅師」の複製書画など約30点の作品を展示。同邸土間を使い、コンセプチュアル・アート(概念芸術)の分野で活躍した下諏訪町出身の芸術家、松澤宥さん(1922〜2006年)の活動を伝える映像作品も上映する。
23日午後5時から石川さんと羅入さんが主宰する密教系芸術集団「混沌(こんとん)の首」による屋外でのアートパフォーマンス、5時半から岩田恵さんによる箏(こと)と唄「伝統と前衛の地平を探して」、24日午後4時からRie Fukudaさんによる自作詩の朗読と演奏のパフォーマンスがある。23日午後6時、24日午後4時半から出品・出演者が解説するアートツアー、24日午後5時半から堀内さんによるレクチャー「白隠禅師の書画が語る世界」も開く。23日のアートツアー終了後には一般参加自由のオープニング・パーティーも予定する。
入場料は1000円(会期中の再入場自由)。高校生以下と障害者手帳持参者は無料。石川さん、羅入さんは「歴史ある屋敷が立地する五官は、下社大祝の金刺氏に仕えた五官家が居を構えた場所。聖地や霊場に対して『空気に神仏が溶け込んでいる』という表現が用いられるが、それは諏訪にこそ当てはまる」と述べ、環境(場)と一体になったアートで、「目に見えない大切なもの」を感じ取ったり、考えてほしい—と話している。詳しくは同祭の公式サイトで確認できる。(写真は、旧岡村邸で諏訪芸術祭について語る石川さん=右=と羅入さん)