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「鬼」たたいて平穏願う 伊那で「さんよりこより」

2025年8月8日


 伊那市の三峰川を挟む美篶川手地区と富県桜井地区の各天伯社で7日、同川の平穏を願う月遅れの七夕行事「さんよりこより」があった。地元の園児や児童らが持ち寄った七夕飾りを付けたササで、洪水を起こす鬼に扮(ふん)した大人をたたいた。
 室町時代の1427年、藤沢村片倉(現高遠町)の「天伯様」が洪水で富県桜井に流され、その後の洪水で美篶川手地区に流れ着いた縁で1472年に始まったとされる行事で、市無形民俗文化財。毎年、8月7日に行われる。
 川手地区の天伯社には園児ら約40人が集まった。太鼓をたたく鬼役の2人を囲んで、「さんよりこより」と唱えながら反時計回りに3周。鬼に向かって一斉にササを振り下ろした。3回繰り返し、鬼を追い出した。
 同市美篶小5年の児童(11)は「鬼を追い払うことができた。健康で過ごしたい」と話した。下川手区の渋谷勇二区長(67)は「ことしも災害がない一年になれば」と願った。
 行事は鬼を追い出すのに加え、ご神体を納めたみこしを担いで川を渡るのも習わし。ことしは河川工事のため、みこしで川を渡らず、川手地区に安置されていたご神体はロープでつって桜井天伯社へ納めた。
(写真は、鬼役の大人に一斉にササを振り下ろす児童ら=川手地区の天伯社で)