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築200年〝ツツジの宿〟今井さん親子 民泊施設開業へ 歴史と革新を融合

2025年6月9日


 岡谷市今井の旧中山道沿いに7月、築200年という古民家を改修した民泊施設がオープンする。今井眞知子さん、松兼さん親子が土地、建物の相続を機に「岡谷の魅力や、製糸で日本をけん引した歴史、文化を知ってもらえる場所に—」と構想。かつて養蚕を営んでいた建物の趣は生かしつつ、過ごしやすいよう手を加えて市花でもあるツツジにちなんだ「Villa Azalea(ヴィラアゼリア=ツツジの宿)」と名付けた。
 今井家は、木曽義仲の家臣・今井兼平を祖とする家系とされる。眞知子さんによると、建物は祖父が進学で出て以降は、曽祖母が暮らしていた。戦中は疎開先、その後は今井家の別荘として幼い頃に遊びに来たり、松兼さんが生まれてからは連れ立って訪れたりしていたという。
 父が亡くなり、眞知子さんが2年前に土地と建物を相続。民泊施設の開業は、学生時代に海外の友人らを招いてよく泊まった松兼さんが、たたずまいに感激する友人の姿を思い起こし、「観光客を呼び込めたら面白い」と考えたことが切っかけになったという。
 岡谷商工会議所の側面支援も受けながら、改修に着手。天井の梁(はり)、蚕棚といった部材は生かしつつ、水回りの改修・新設、ワーケーション需要など長期滞在にも対応する書斎、床暖房、Wi—Fi(ワイファイ)環境を整備するなど歴史に革新を融合させた。
 入り口すぐの場所には、蔵から出てきた織機を岡谷蚕糸博物館の協力で復元させて展示。壁紙も一部、蚕から取った糸を使った。施設名のアゼリアの通り、庭には10種類超のツツジが植わり、5月ころ見頃になるという。
 1、2両日のプレオープンには「世話になった方や、近隣の皆さんなど大勢に来ていただけた」と眞知子さん。松兼さんは「旧中山道を歩く方がいるので、将来は蔵を改修しカフェもできたら」と更なる構想を膨らませる。
 1棟貸しで、一度に10人程度が宿泊できるという。予約は準備が整い次第、ウェブで受け付ける予定。
(写真は、歴史を生かした民泊施設に生まれ変わった建物と眞知子さん、松兼さん)