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貸自転車の利用好調 湖周2市1町 観光圏の連携更に

2025年6月6日


 昨年4月に諏訪湖サイクリングロードが全線開通し、諏訪湖周地域でレンタサイクルの利用が増えている。提供事業者らによると、特に湖を一周する目的での利用が多く、周辺のにぎわい創出や、湖周のサイクルツーリズム振興にも効果は波及。湖周の2市1町が、一つの観光圏としての結び付きを更に強めるのにも寄与している。
 諏訪湖畔のアクティビティ施設「アクティビティベース・コグー」(諏訪市湖岸通り)には、レンタサイクル利用者の来店が絶えない。長野市と飯田市から来た共に25歳の男性2人組は、湖周を2時間かけて1周。それぞれ「快適だった」「安全に楽しめた」と笑顔。下諏訪町の赤砂崎公園で休憩し、岡谷市の釜口水門そばにある「SUWAKOモニュメント」で記念撮影もしたという。
 利用者の伸びが特に顕著なのは、宿泊施設が多い諏訪市の事業者で、コグーの2024年度の利用台数は前年度比143%。同施設運営会社アポルタの小山友旗副社長によると、利用者の約7割は湖周一周が目的だという。
 利用台数の規模はコグーより小さいものの、岡谷市と下諏訪町にも開通効果は及ぶ。JR岡谷駅前にある岡谷市観光協会のレンタサイクル利用台数は24年度が1282台で、前年度比135%。協会の担当者は「観光宿泊者が少ない不利を補うため、近隣市町の事業者よりも手頃な料金設定が好評」とみる。
 下諏訪町内2カ所にある町観光協会のレンタサイクルは、24年度の利用台数は2561台で前年度から横ばい。ただ町の担当者は「遠出が増え、1台当たりの貸出時間は長くなった」と指摘。町内ばかりでなく、湖周へと遠出する利用者が増えたと分析する。
 諏訪市の存在が大きいものの、小山副社長は「貸出元がどこであれ、お客さまにとって湖は一つ。経済効果は全域に及ぶ」とする。岡谷市湊の複合施設「LAKEHOOD OKAYA(レイクフッドオカヤ)」のアクティビティ責任者、木下芳彦さんは「レンタサイクルで諏訪市から来店する人も増えている」とし、「岡谷市には『立ち寄り場』としての可能性がある」と話す。
 3市町ともサイクルツーリズムを軸とする観光振興策を練る。下諏訪町は民間事業体と提携し、湖畔の赤砂崎公園にカフェやキャンプ場などを備えた複合施設を来春に開業する予定。諏訪、岡谷の両市も、官民連携の湖畔活用を模索中だ。
(写真は、諏訪湖一周を終えたレンタサイクル利用者を迎える店員㊨=アクティビティベース・コグーで)