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諏訪湖ワカサギ復活の兆し 採卵量約8931万粒に

2025年6月1日


 諏訪湖漁業協同組合は、今春の諏訪湖産のワカサギ採卵量は、過去最低を記録した昨年の170万粒から大幅増の約8931万粒だったと明らかにした。野尻湖漁協からの購入分を合わせ、約1億3631万粒を諏訪湖に放流。諏訪湖漁協は採卵前の3月初めに砥川をしゅんせつし、遡上(そじょう)しやすくしたことに加え、導入した付着沈性卵用孵(ふ)化装置が軌道に乗り、かつて全国に出荷した当初の「シュロ枠孵化方式」を約10年ぶりに実施したことが要因とみる。
 同漁協によると、導入2年目の孵化装置の孵化量は、前年比約3.5倍の約591万粒(前年421万粒増)。再導入したシュロ枠孵化方式は約8340万粒の採卵に成功した。昨年5000万粒購入した野尻湖漁協から引き続き4700万粒を買い入れ、合わせて放流した。安定的な漁獲につなげたいという。
 5月30日午後、諏訪市の諏訪湖漁業センターで開いた通常総代会では、採卵の状況を共有したほか、第77期(2024年2月〜25年1月)の事業概況と決算、25年度の事業計画と予算など8議案を承認した。
 24年度決算は好調なドーム船のワカサギ釣りが遊漁事業をけん引し、前年比875万5000円増の1億444万5000円となったものの、設備投資やワカサギ卵が出荷できるほどにまで回復しなかったことなどが響き、全体では150万3450円の赤字となった。赤字は5期連続。魚介類の総取扱数量は2321.9キロで、前年度比502.9キロ増となったが、8208キロだった22年の水準までには届かなかった。このうち川魚販売店組合の協力で「鯉(こい)のみそ漬け(みそ焼き)」が復刻販売されたコイは、倍増した。
 本年度は▽魚介類が生息できる環境の創出▽外来魚と魚食性鳥類による食害防止対策▽ヒシなど水草の異常繁茂防止対策▽貧酸素水塊解消策と飼料環境の回復策—の4本柱を掲げる。藤森惠吉組合長(74)は総代会終了後の取材に、ワカサギ採卵量が増えたことに「もろ手を挙げて喜べないが、明るい光は見えてきている」と語り、「かつての全国に販売した時代のように状況まで持っていきたい」と述べた。(写真は事業計画や決算などを承認した総代会)