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「相楽総三を大河ドラマに」 松本市の刀剣探究家が町長に提言 下諏訪町
2025年5月31日
松本市在住の歴史刀剣探究家、佐藤肇祐さん(50)は30日、下諏訪町役場に宮坂徹町長を訪ね、町が終焉(しゅうえん)の地となった赤報隊の相楽総三隊長(1839〜68年)を主人公にした「NHK大河ドラマ」誘致を提言。佐藤さんは、時代の転換点に赤報隊事件や和田嶺合戦などの出来事が重なった下諏訪を中心に、県内の関連自治体が連携して誘致を働きかけ、埋もれた歴史に光を当て「ダークヒーローをヒーローにしてほしい」と話した。
佐藤さんは下諏訪宿本陣・岩波家に保存されている相楽のものと伝わる懐刀、西郷隆盛の側近で幕末に「人斬り半次郎」の異名で浪士らに恐れられた桐野利秋(38〜77年)の太刀を展示し、同家で大型連休に合わせて開かれた「遺刀展」、町諏訪湖博物館・赤彦記念館で昨年度開かれた和田嶺合戦を顕彰する企画展「浪人塚160周年」に、所有する刀を貸し出して協力。
この日は遺刀展で披露した桐野の太刀と、江戸前期の1686(貞享3)年に4代目会津兼定が作刀し、新選組局長の近藤勇が所持していた可能性がある脇差しの2点を持参して宮坂町長に披露。1863(文久3)年、幕命を帯びて中山道を京都へ向かう浪士組(後の新選組)約200人を率いて「近藤は下諏訪宿へ泊まっている」などと下諏訪に関連する幕末の歴史を熱く語った。
その上で、大河ドラマ「新選組」(2004年)の脚本を書いた脚本家の三谷幸喜さんが「本当は新選組じゃなくて、赤報隊をやりたかった」と語っていることや、新政府から「偽官軍」の汚名を着せられ、下諏訪で斬首された赤報隊のドラマ性に触れ「大河処女作で赤報隊をやりたかった三谷さんはきっと話に乗ってくると思う。(誘致の)署名活動をしたり、三谷さんを訪ねるなどで、(関連自治体が)オール信州で機運を高めれば実現する。歴史に詳しい宮坂町長に先頭に立ってほしい」と呼びかけた。
28年は相楽の没後160年の節目。佐藤さんは志半ばで、罪人として散った相楽の無念を思い「恨みを晴らせるのは下諏訪の人だけ。闇の部分を取り除いて子どもたちに歴史を伝え、地域を活性化させてほしい」と語り、宮坂町長は「ちょっと仕掛けてみようかしら。(三谷さんに)会える機会があれば可能性はあるかもしれない」などと興味を示した。(写真は、宮坂町長に持参した刀を披露する佐藤さん)