NEWS

来月8日伊那で最終公演 クラシック音楽の祭典

2025年5月16日


 伊那市の音楽団体による演奏会「クラシック音楽の祭典」の最終公演が6月8日(日)、同市の県伊那文化会館で行われる。地域にクラシック音楽の文化を根付かせようと形を変えて35年続く演奏会。当初の目的を達成したと判断し、これまでも演奏してきたヘンデルの「メサイア」で幕を下ろす。
 演奏会は同館のオープン記念として、1990年に「手づくりの演奏会」と題して始まった。市民らでつくる「伊那フィルハーモニー交響楽団」と公募の合唱団による演奏で、2016年までに12回開催。住民が音楽活動に参加する場として続け、クラシック音楽を地域に根付かせる役割を担ってきた。
 18年にはより高みを目指そうと装いを新たにし、合唱団員をオーディションで選ぶなど演奏技術の向上を図ってきた。コロナ禍による制約を受けながらもベートーベンの「歓喜の歌」やオルフ作曲の「カルミナ・ブラーナ」などに取り組み、特別演奏会を含めて3度公演した。
 立ち上げから携わる同館の北沢理光館長(76)は「最初の頃は、この土地には全然音楽が根付いていなかった」と振り返る。近年では地域での演奏イベントが増え、演奏者の裾野が広がったといい「伊那谷の音楽文化もかなり豊かになった」。合唱団員の高齢化などもあり、新たな担い手による活動を期待し、最後の公演にすると決めた。
 メサイアは初回で演奏した曲でもあり「最後にふさわしい曲」として選んだ。合唱団は約100人で24年1月から、伊那フィルは約60人編成で12月末から練習を重ねる。北沢館長は「演奏者も聴く人も感動する、これまでやってきて良かったと思える演奏会になれば」と話す。
 出演者は4月下旬から合同練習を始めており、前日リハーサルで仕上げる。合唱団の池上忠人団長(南箕輪村)は「最後ということで、みんな一生懸命練習している。気持ち良く歌い上げて、有終の美を飾りたい」。伊那フィル・コンサートマスターの田中和美さん(伊那市)は「集大成として、みんなで思い切り楽しめれば」とする。
 開場午後1時半、開演2時。入場料は一般1000円、高校生以下500円。前売り券の残りはわずか。当日券の販売も予定する。
 問い合わせは同館(電0265・73・8822)へ。
(写真は、最終公演に向けて練習に励む演奏者たち=県伊那文化会館で)