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諏訪湖博物館「伊東建築」のグッズが完成

2025年5月2日


 下諏訪町諏訪湖博物館・赤彦記念館は、同館を設計した町ゆかりの建築家・伊東豊雄さん(83)にまつわるミュージアムグッズを作った。伊東さんが子ども時代に下諏訪で見た諏訪湖に架かる「水平虹」や、盆地の山々の形状などをモチーフにしてデザインしたとされる、同館の立面図を取り入れたクリアファイル。マスク入れやチケットホルダーとして利用できる大きさで、建築が目的で来館する人の記念品として販売する。
 同館が伊東さん関係のグッズを作ったのは初めて。1993年に町制100周年記念事業として町が建設した同館は、船をひっくり返したような三次曲面の外観が完成当時から話題を呼び、開館から32年が経過した現在でも、伊東建築が目的で来館するファンや学生が大勢いるという。
 クリアファイルは約20センチ×11センチの大きさ。伊東豊雄建築設計事務所の承諾を得た上で、デザイナーに依頼して昨年度事業で作製。透明な表面は同館の南側(湖側)と北側の立面図を縦並びに入れ、裏面は諏訪湖をイメージしたという水色で仕上げた。ファイルの中に白い紙を入れると、図面がくっきり浮き上がって見える。
 水平虹は、諏訪湖の水平面に虹色の帯が現れる現象。伊東さんは湖畔の家で暮らした幼少期の原風景として、湖の鏡のような「静寂な美」と幻想的な水平虹、御柱祭の激しい「奔流する力」を挙げており、「(矛盾する二つの原風景が)建築に影響を与えたと考えるようになった」と講演などで語っている。
 伊東さんは2013年、建築界のノーベル賞とされる「プリツカー賞」を受賞するなど、世界的に高い評価を受けている。博物館では「伊東さんは図面をあまり公開しておらず、図面を用いたグッズはほとんど見かけない。建築が目的で来館する人に、記念として手に取ってもらえれば」と話し、建築を通して展示にも興味が広がることを期待していた。
 千枚作製。価格は400円(税込み)。問い合わせは同館(電0266・27・1627)へ。
(写真は、販売を開始したクリアファイル。背景の博物館の立面図を入れた=諏訪湖博物館・赤彦記念館提供)