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開館当時の情熱たどる 市美術館70周年記念展

2026年7月9日


 諏訪市美術館は、開館70周年記念展の前期となる展覧会「諏訪に刻む」を開いている。同館開設以来、その後の展覧会出品作や収蔵品収集に献身的に情熱を傾けた地域の美術家たちの作品45点を展示、昭和期までを振り返る。9月27日(日)まで。
 美術館の建物は片倉館の付属施設として1943年に建築された「懐古館」。帝冠様式の雰囲気を残す和洋折衷の2階建て土蔵造り(延べ約890平方メートル)。国の登録有形文化財(2011年)になっている。
 市美術館の前身は「諏訪美術館」。当時、諏訪市の彫金家、浜達也(1913〜89年)ら諏訪地域の芸術家や文化人たちの美術館創設への熱意が高まり、小説家の藤森成吉(1892〜1977年)の発案で同施設を借用、47年に開館した。50年には片倉館から建物が市へ寄付されて諏訪市公民館として利用された後、56年に県内初の公立美術館「諏訪市美術館」が開館した。
 当時は、全国的にも美術館が少ない時代。開館当初の所蔵作品は30点程度で、地元の芸術家たちが作品の寄託を求めて各地を奔走した。洋画家の石井柏亭(1882〜1958年)も自ら選んだ5点を寄贈している。その後も多くの関係者の協力を得てコレクションの充実を目指し、70年から5年がかりで作品購入に注力、版画作品の充実を図った。75年には初の収蔵作品展を企画。85年ころには400点を超え、現在は1500点以上の収蔵作品がある。
 展示では1階は諏訪美術館や市美術館開館に携わった浜達也、石井柏亭、中川紀元、高橋貞一郎、志村一男、武井直也、荻原碌山らの作品を紹介。2階は日本の銅版画の先駆者とされる駒井哲郎をはじめとした、これまで展示することが少なかった版画作品や、漆芸の小口正二、金工の三村昌弘らの作品が並ぶ。
 来館者には図書コーナーで、同館や諏訪に関する思い出を記入してもらい、展示している。北原あかね学芸員は「諏訪や美術を愛した人々の熱い思いが今につながる。どのような人々が関わってきたのかを知ってほしい」と話す。
 10月27日(火)から来年1月24日(日)には後期展示「諏訪を歩む」を開き、一般公募作品と併せて平成から現在までの軌跡を追う。
 (写真は、2階は版画作品が多く紹介される)