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2028年御柱祭 上社御用材は高遠から 明治以降で初の私有林

2026年3月29日


 諏訪大社の大総代でつくる上社御柱祭安全対策実行委員会と、同社は28日、2028(令和10)年の諏訪大社御柱祭へ、上社の御用材を伊那市高遠町藤沢地区の私有林から切り出す方針を明らかにした。私有林からの調達は「明治時代以降では初めて」(同社)。前回22(同4)年の大祭では「原点に帰る」として、30年ぶりに本来の御柱山である御小屋山の社有林(茅野市玉川)で調達したが、今回は林内に立つモミの状態から、将来にわたり御小屋を守り伝えていくため休ませる必要があると判断した。
 上社の御用材を巡っては、1959(昭和34)年の伊勢湾台風による倒木被害などで確保が困難になったことから、98(平成10)年から2016(平成28)年の大祭まで、社有林以外で調達してきた。上伊那地域に求めるのは16年の辰野町横川国有林以来、伊那市は初めて。
 この日、上社本宮(諏訪市)で会見した安全対策実行委の樋口敏之委員長(68)=茅野市=は前回大祭以降、大総代経験者らでつくる「自然と地域と人を結ぶ協議会」が選定した複数の候補地を視察するなどこれまでの経過を説明。「諸事情を考慮し、さまざまな観点から熟慮を重ね、伊那市高遠町藤沢地区から奉納していただくことにした」と話した。
 御小屋山の状況について、桃井義弘権宮司は「御用材になり得る木が全くないわけではない」とした上で、「近年は特に鹿に樹皮を剥がされる被害が大きい。対策はしているが、標高が高いため木の成長にも時間がかかる。御用材に適するまで30年ほどは寝かしておき、その間はほかの場所から調達できれば」とした。
 1200年以上の歴史を誇る天下の大祭に、主役のモミを奉納することになった伊那市からは、喜びや期待の声が上がった。同市の白鳥孝市長は本紙の取材に「全国、世界から人が集まる勇壮な祭りで、見に行ったこともある」とし、「今回、高遠から切り出されることはとても名誉なこと。事故がないことを願っている」と語った。

上社仮見立て5月18日 下社本見立て5月25日

 この日の会見では、候補木を決める上社仮見立てを5月18日(月)、正式に御用材とする下社本見立てを同25日(月)に行うことも発表された。
 上社仮見立ては、候補地が集落内の私有地であることに加え、形状が急傾斜地といい、安全確保や自然保護の観点から入山人数を制限する。上社安全対策実行委の樋口委員長は「安全面や法的トラブルを避け、御柱祭に支障が出ないよう実行委員会として入山管理を徹底する」とし、詳細は今後、地区大総代を通じて周知するとした。
 下諏訪町の東俣国有林で行われる下社本見立ても、引き続き人数を制限する考え。御柱祭下社三地区連絡会議の増澤哲会長(70)=下諏訪町=は「山の保全が第一。安全確保、火災予防などルールの下で進める」とし、「コロナ禍前に戻したいという氏子の意向も強く、本当は皆で候補木を見て盛り上がりたいが、ある程度の制約は必要」と理解を求めた。
 桃井権宮司は「前回はコロナ禍での開催となり、人力による山出しを断念した。今回は通常通りの山出し、里曳きを執行し、無事に境内に16本の御柱を建立、奉納していただきたい」とした。
(写真は上社御用材の候補地について説明する樋口委員長=左から2人目=ら)