NEWS

味と看板 岡谷の業者継ぐ 「白線流し」に登場 松本の洋食店「どんぐり」あす再開

2026年3月10日


 松本市をロケ地にしたドラマ「白線流し」(1996年)は、フジテレビ系で放映されてからことしで30年。作中にも登場した老舗洋食店は、少し出演した〝名物店主〟の存在感も相まって人気となり、当時は流行の発信地だったファッションビル・松本パルコ(2025年閉店)と共に、諏訪や上伊那地域からも若者がこぞって目指した。そんなある世代にとっては「青春」ともいえる飲食店を、節目の年に岡谷市の業者が引き継いだ。
 JR松本駅に近い「レストランどんぐり」。父・正夫さんが1954年に創業した店を守ってきたのが、ドラマにも出演した浅田修吉さん(67)だ。白線流しで店の人気は更に高まったが、当初から「65歳での引退」を決めていたほか自身の体調不良、大型店の進出による駅前の空洞化などから勇退を決断。そんな折、松本信用金庫(松本市)の仲介で出会ったのが、飲食店事業を展開するデライト(岡谷市神明町)の横山隼人さん(47)だった。
 話自体は2年ほど前に持ち上がり、浅田さんも複数面談した中で横山さんを気に入ったが、最初は「どんぐりは良くも悪くも『俺』。俺がいないと成立しない」との思いから屋号やレシピは残すつもりはなかった。こうした考えから一度は横山さんに断られたが、横山さんの真面目な人柄や運営する店舗の清潔さなどを見聞きするうちに心変わり。昨年の初めに再度打診し、屋号もレシピも残しての承継が決まった。
 横山さんは「私自身もよく訪れた場所で、なくなるのは寂しく、店や味を残していくことが大切だった」と振り返る。浅田さんからは「好きにやれ」との激励を受け、駅前はかつてより人が少なくなっているが「大きくもうけようとは思っていない。この場所にこの店があることが大切であり、まずは常連さんや地域の方に『変わっていない』と認めてもらえるように営業していきたい」と話す。
 営業は11日(水)から。午前11時〜午後3時と同4時半〜9時。木曜定休。
(写真は、2日付で店舗を承継し、店舗前で握手をする浅田さん=左=と横山さん)