NEWS
「世界最古の気象記録」解説 諏訪湖博物館で御神渡り企画展
2026年1月25日
下諏訪町諏訪湖博物館・赤彦記念館は、ミニ企画展「御渡(おみわた)りの記録ってすごい」を同館ロビーで開いている。凍った諏訪湖の氷がせり上がる「御神渡り」の出現が期待される時期に合わせて開催したもので、同館専門研究員で地学に詳しい小口徹さん(72)=諏訪市=が、史料を基にまとめた御神渡りの記録を紹介。文献で明らかになっているだけで約560年分のデータがあり、御神渡りは「世界最古の気象記録」でもあるとして、来館者の興味を引いている。
小口さんによると、御神渡りの記録は「諏訪史料叢(そう)書」17巻(1932年刊)に収録されている諏訪大社の「当社神幸(しんこう)記」に1397年と1443〜1681年(室町から江戸)の約240年、御神渡りの神事をつかさどる八剱神社の地元、小和田村(現諏訪市小和田)の「御渡り帳」に1683〜1871年(江戸から明治4年)の約190年、八剱神社の記録に1893〜2025年(明治26〜令和7年)までの約130年の合わせて約560年分残されている。
全面結氷日や御神渡りの発生日時、筋の起点「下座(くだりまし)」、終点「上座(あがりまし)」の場所(地名)のほか、御渡り帳には「留め書き」としてその年の作況、気候や洪水、地震災害、米価や商品と作物の値段なども記されているという。
企画展では1397〜1871年まで約430年分の記録を、文献に基づいて箇条書きしたほか、御神渡りの概要、気象記録として何が重要なのかを解説。
全面結氷した氷が昼間の気温上昇で膨張し、割れ目の薄氷がせり上がる—とされてきた発生の通説については「当社神幸記の発生時刻を集計すると、最も冷え込む明け方(午前6時前)から朝(10時前)の発生が68.8%であり、昼間の御神渡りはまれ(3.6%)だった」と初期のデータには当てはまらないことを示した。
1220年ごろ(鎌倉時代)には、諏訪湖が上社本宮近くまで広がっていたことから、諏訪湖の対角線に現れる御神渡りが、本宮と秋宮を結んでいるように見え、「上社の明神様が下社の妃(きさき)神の元へ通った道筋との伝説が生まれたと思われる」と推測。
発生日と御神渡りを認定する拝観日の10年ごとの集計から「14〜17世紀の冬は寒く、18世紀以降は暖かい傾向にあった」とも考察している。
小口さんは「御神渡り現象が発生する湖はほかにもあるが、(こんなに長い)記録は残されていない。諏訪の人々の諏訪大明神に対する畏敬の念と、(製糸業や精密工業の発展につながる)記録魔が多い気質を物語っていると思う。企画展を見て、諏訪を感じ取ってほしい」と話している。
2月23日(月=祝日)まで。入館料は大人350円、高校生以下無料。時間は午前9時〜午後5時。月曜日と祝日の翌日休館。
問い合わせは同館(電0266・27・1627)へ。(写真は御神渡りを解説する小口さん)
トップ
ニュース
新聞案内
各種案内
会社情報
お問合せ

