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普賢菩薩騎象像を諏訪大社に奉納 宮彫師の中牧一展さん親子が制作

2025年12月1日


 木彫の普賢菩薩騎象(ふげんぼさつきぞう)像が30日、諏訪大社に奉納された。松川村の宮彫師、中牧一展さん(75)、長男の宮大工、幹治さん(48)、三女の仏師、三佳さん(36)が約1年がかりで制作した。普賢菩薩騎象像は、明治初期の神仏分離以前には上社神宮寺普賢堂の諏訪大明神本地仏とされている。大社は上社本宮のご祈とう待合所に安置し、神仏ともに崇敬してもらうことを願っている。
 台座から蓮花までを含む象は高さ約1.3メートル、約200キロ。両手を合わせた普賢菩薩は高さ約80センチ、約20キロ。光背を含むと高さは2.3メートルになる。
 直径約1.3メートルの大クスの一木造り。当初は双方を一体で作る予定だったが、搬入を配慮して分けて作った。象は一展さんと幹治さん、水と風の神をイメージする梶の葉の動きを浮き彫りにした光背を含む菩薩像は三佳さんが担当した。
 神仏分離で姿を消した神宮寺から移された普賢菩薩騎象像は現在、四賀の佛法紹隆寺に守られる。この像は菩薩と象が同じ方向を向いているのに対し、一展さんが制作した像は左側面を向けた象の上に菩薩像が正面を向くように安置した。
 奉納式には上社の大総代も出席。村上益弘宮司が「参拝者には歴史のつながる菩薩も見て、神仏双方から御利益をもらい、幸せになってお帰り願いたい」と感謝した。
 一展さんは、23歳から6年間、井波彫刻を学んだ後工房を構えた。2019年には諏訪大社下社秋宮神楽殿の神鏡台座も奉納している。30歳代の頃、紹隆寺の像を手がけた経験もあって「何か縁がある気がする。後世につないでもらえることがありがたい」と話していた。
(写真は、重さ200キロを超える普賢菩薩騎象像を奉納した中牧さん父子と村上宮司=右から2人目)