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大日本蚕糸会 髙林千幸さんに「功績賞」 蚕糸博への製糸工場併設に尽力

2025年11月19日


 岡谷蚕糸博物館長の髙林千幸さん(74)=岡谷市堀ノ内=が、蚕糸絹文化の継承や発展に貢献したとして、一般財団法人大日本蚕糸会(東京都)から「蚕糸功績賞」を受けた。製糸技術に関する研究に取り組み、館長就任後は移転に合わせた民間製糸工場併設などに尽力。本年度の受賞者は2人で、同賞を受けた市関係者は5人目という。
 髙林さんは市出身で、東京大学農学博士。東京農工大学工学部を卒業後、当時の農林省蚕糸試験場製糸部に入った。市内にあった農業生物資源研究所生活資材開発ユニット長などを務め、2011年3月に退職。38年間の研究で特許19件、実用新案6件を取得した。これまでに日本シルク学会長も務めている。
 11年4月には同館長に就任。14年8月の移転を機にした宮坂製糸所併設に力を注いだ。博物館活動では、蚕の飼育などを通じて蚕糸の歴史や技術を分かりやすく伝える「カイコ学習」などに取り組んでいる。昨年度には、開館60周年・移転リニューアル10周年式典をはじめとする各種記念事業を企画、開催した。
 受賞を受け、髙林さんは「半世紀にわたってシルクの研究と文化発展、博物館の活動に携わることができて良かった」と語る。18日には、市役所で早出一真市長に受賞を報告。カイコ学習などを例に「岡谷にしかできないことを実現したい」とし、「これからも絹の文化を広く、皆さんに伝えていきたい」などと話した。
 早出市長はこれまでの尽力に感謝し、「ますます力を発揮し、高い技術と発信力で市のシルクを盛り上げてほしい」と期待した。
 (写真は、早出市長㊧に受賞を報告する髙林さん=18日、市役所で)