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上諏訪の花街再発見 諏訪市で歴史と文化に触れるイベント

2025年11月2日


 かつて上諏訪温泉の花街としてにぎわった諏訪市大手の記憶をたどるイベント「大手町の花街と芸者さん」が1日、クリロンワークショップ伊久美で開催された。ゲストやスタッフを含めて約60人が参加し、最盛期には約200人の芸者がいたという地域の歴史に思いをはせた。
 文献に残されていない口述の歴史(オーラルヒストリー)の掘り起こしに取り組む市民有志「諏訪の文化探索隊」と、みんなの居場所ゆめひろ「まち歩き部」が主催した。昨年11月の「末広商店街タイムトラベル」に続く第2弾として企画した。
 午前の部は、芸者の仲介や稽古を行っていた「大手見番」を開放した。大正から昭和初期の名所や名物を歌詞にして、当時の芸者が吹き込んだ新民踊「諏訪小唄」のレコードを流し、往時の雰囲気を伝えた。
 午後の部では、探索隊会員で信州文芸誌協会所属「窓」同人の牛山一貴さん(50)が「諏訪市大手町に芸者さんがいた頃〜料亭信濃とその周辺〜」をテーマに話題を提供。文献調査と聞き取りを基に、1905(明治38)年の上諏訪駅開通を機に発展した大手の歴史をひもといた。
 結核療養で諏訪に滞在した作家の横溝正史(02〜81年)を取り上げ「横溝は体調が良くなると芸者遊びをして、マージャンで人が足りないと芸者さんを呼んで一緒に卓を囲んでいた」とエピソードを紹介。花街文化に親しんだ文化人や企業人を振り返り、牛山さんは「皆さんの知っている懐かしい話や面白い話も聞かせてもらえたら」と呼びかけた。
 9日(日)には、まち歩き「旧料亭信濃の娘さんと歩く大手町」を開催する。ゆめひろ(末広)へ午前9時に集合し、国登録有形文化財の旧料亭信濃や文化人ゆかりの地を巡る。参加費500円。定員はなく、予約不要で当日参加できる。
(写真は、踊りを披露する芸妓の美代遥さん)