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武井武雄がつくった8組織 仲間との活動に着目し初展示

2025年9月27日


 イルフ童画館で、岡谷市出身の童画家・武井武雄(1894〜1983年)が立ち上げた創作に関わる組織に焦点を当てた企画展が開かれている。作家仲間と感性や技術を高め合ったり、ファンと交流したりしてきた八つの組織の活動を約200点の作品、資料と共に取り上げる。10月5日(日)まで。
 今回は、児童向け絵雑誌などで活躍していた作家たちとつくった「日本童画家協会」、戦後ですさんだ故郷の人々の心を文化活動で豊かにしようと立ち上げた「双燈社」、芸術家仲間を誘って主宰した自転車遠乗り会「JAZOO—MANIA(ジャズマニア)」などの組織に加え、活動を支えた家族も紹介。武井の組織づくりに着目した展覧会の開催は初めてという。
 武井が初めてつくったという、旧制諏訪中学校(現・諏訪清陵高校)時代に友人と立ち上げた絵画研究の同好会「椰子(やし)の実会」も取り上げる。学生ながら細かい規定を作り、会費を集めて美術雑誌を購読し、会報も発行するなど、生涯を通じて創作活動とともにあった組織運営の原点がうかがえる。会報の表紙画なども並べる。
 創作版画技術を高め合うため、1935年から20年間続けた版画年賀状の交換会「榛(はん)の会」のコーナーでは、武井だけでなく加わった作家の作品も展示。会員の投票で評価が芳しくないと次の年には参加できないという厳しい規定があり、作家がはがきに込めた手間や芸術性の高さが感じられる。
 同館学芸員の河西見佳さんは「さまざまなグループをつくり、自分や相手の創作を高めていく活動が多くあった。武井の創作には組織が必ず必要なものだったということを知ってほしい」と話す。
 開館は午前9時〜午後6時(受け付けは5時半)。水曜休館。入館料は520円(中高生310円、小学生160円)。問い合わせは同館(電0266・24・3319)へ。(写真は武井がつくった組織と仲間たちの作品が並ぶ会場)