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旧「矢崎商店」棟梁「立石初三郎」の研究へ 関連情報求む

2025年8月21日

 下諏訪町諏訪湖博物館・赤彦記念館と御田町文化研究会は、国の登録有形文化財になる見込みの旧「矢崎商店」を建てた大工棟梁(とうりょう)、立石初三郎(1893〜1978年)の情報を集めている。町内などで複数の建築を手がけたとみられ、初三郎の研究を深めようとするが、文献などの記録が少ない状況。町内にあるほかの近代和風建築を探るためにも、協力を求めている。
 旧矢崎商店については昨年度、信州大学工学部建築学科の研究室が建物の価値などを調査。その際、主屋の2階天井裏から棟札が見付かり、初三郎が棟梁を務めて1936年に建てられたことなどが分かった。
 加えた調査で初三郎は、町内を中心に数々の民家を建てて寺社の改修、再建もしていたことが判明。更に、松本市の旧開智学校を建てた立石清重の大甥(おい)に当たり、町内にある縁戚の立石家の養子になったことや、50〜70年ごろには中央通りで「立石建設」を構えていたことなどが分かっている。
 旧矢崎商店には意匠性が高い建具や調度品、壁の施工などがあり、質の高い大工技術が評価された。町などは、同じ近代の名建築がほかにもないか調べようと、本年度も信大研究室による調査を継続。初三郎の建築を手がかりに調査、研究を深めようとしている。
 求める情報は、▽自宅を初三郎が建てた▽初三郎が手がけた建築を知っている▽初三郎と仕事をした人を知っている—など。初三郎自身や、旧矢崎商店に似ている建物の情報などささいな事も受け付ける。
 学芸員は「情報提供者には聞き取り調査の協力を頼むこともあるが、分かりそうな人が高齢で今のうちに知りたい。国登録有形文化財の話題を切っかけに、町内のほかの建物にも注目して協力いただきたい」としている。
 情報提供は町博物館(電0266・27・1627)、または御田町文化研究会(メールmitaken.1911@gmail.com)へ。
(文中「矢崎」の崎は「たつ崎」)