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藁(わら)人形ささげ水難よけ 豊田文出で「御水神講祭」

2025年8月18日

 江戸時代から続くとされる諏訪市豊田文出区の「御水神講祭(水神祭り)」が17日あり、宮川に架かる四ツ家橋から藁(わら)人形を落として、水害から地域が守られるよう願った。
 祭事は区が主催して開く。全戸総出の宮川枝払いの後、文出公民館に協議員、町内会長ら約30人が集合。飯田陽一区長(63)が祝詞を上げ、柳の枝に藁と五色の御幣を巻いた藁人形などに祈りを込めた。
 近くの四ツ家橋へ移動して両岸に縄を渡し、中央に人形、両脇に各7枚の紙垂(しで)を取り付けた。「区長、人形を静かに落としてください」の合図で、飯田区長が藁人形を頭から落下させた。水神碑や諏訪湖河口、舟渡川との分岐、合流点などの要所にも柳の枝に刺した7本の枝塔婆を取り付けた。
 区民総出払いの通知に「出払いも水神講の大切な祭事の一部である」ことを記した飯田区長は「水害や水難事故がなく、実り豊かになるよう願う」と話した。人形は来年の祭りまで、橋桁下部に固定する。
 豊田村誌によると、宮川はたびたび洪水を起こし、これは水神がいけにえを求めるのだと考えられた。稲作で最も水が大切な時期になる盆から二百十日までの間に祭事を行い、水神に人形御供をささげることで、地域の無災害を祈願する必要があった—と、祭りのいわれが伝えられる。
(写真は、合図を受けて藁人形を放す飯田区長=右から3人目=)