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伊那中病 手術室2部屋を増設

2025年7月3日


 伊那市の伊那中央病院は、手術室2部屋を増設した。手術件数が増加する中で、患者が手術を待つ期間を短縮し、緊急手術にも柔軟に対応できるよう整備。本郷一博院長は「地域の皆さんのために活用し、安心安全な医療を提供したい」としている。
 手術室は本館2階のICU(集中治療室)があったスペースに設置。最新機器を設置でき、主に呼吸器科、脳外科、整形外科の手術で使う広めの93平方メートルの1室と、感染症の拡散を防止する「陰圧機能」を備えた69平方メートルの1室を増設。同病院の手術室は8室態勢となった。総事業費は約6億円。
 同病院では、患部や血管、器具の場所などを映し出す「ナビゲーションシステム」のほか、アームを操作して精密な動作ができる「手術支援ロボット」といった新たな技術を積極的に導入。機械のサイズが大きいため、置き場所の確保が課題となっていた。広い手術室の確保により、安全性の高い手術をより多く行えるようになった。
 同病院の手術件数は、コロナ禍での落ち込みはあったものの増加傾向が続いており、20年間で1.57倍に。2024年は前年比68件増の3867件で、過去最多となった。高齢者人口の増加や、医療技術の進歩で体力のない人でも手術が受けられるようになったことが要因とみられる。
 手術件数の増加によって手術室の割り当てに苦労したり、患者が手術を待つ期間が長くなったりと、課題も表面化。今後も手術件数の増加が見込まれることから、21年から増設に向けた準備を始め、設置場所確保のための移転工事などを進めてきた。整備によって年間4200件程度の手術に対応できるようになるという。
 手術室は6月30日から稼働。今後は7部屋稼働を原則とし、緊急の手術にも柔軟に対応できる態勢とする。本郷院長は「地域の皆さんのために質の高い医療を提供するのが使命。今回の整備は、患者さんにとってもメリットは大きい」としていた。(写真は伊那中央病院に増設された広めの手術室)