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岡谷産繭の糸で着物 紬織作家小山憲市さん企画展 蚕糸博で
2025年7月2日
紬織(つむぎおり)作家の小山憲市さん(67)=上田市=の作品を集めた企画展が、岡谷蚕糸博物館で開かれている。本展のため、三沢区民農園が育てた繭から、宮坂製糸所(岡谷市郷田)が取った糸で仕立てた2着をはじめ、自身の表現を突き詰めたという着物など13点が並ぶ。8月31日(日)まで。
小山さんは上田市出身。上田紬の工房「まつや染織」を同市に構え、1992年の第17回全国新人染織展で最高賞の大賞を受けるなど受賞を重ねている。
岡谷産の糸を使った作品は初公開で、いずれも繭を乾燥させずに取った「生繰り」の糸を使用。乾燥繭の糸よりも白く、光沢があってしなやかという。このうち「氷雨」という作品は、裾に向かって増える縞(しま)などで、雨がみぞれから雪に変わる瞬間を表現した。
染めた糸で織って柄を出すといい、草木染と化学染料の両方を使う。会場には、全国新人染織展の大賞受賞作で、星空を表現した「光の雫(しずく)」のほか、日本古来の染料の日本茜(あかね)や紫根を使った着物などもある。アイデアを深めるために描いた図案も並べている。
なりわいとして「商品」の着物を手がける一方、展示したのは自分を表現した「作品」という。小山さんは「普段着、実用着とは違う視点で捉えてほしい。いろいろな人が見て、何かが伝われば作り手としてうれしい」と話す。
午前9時〜午後5時。水曜と祝日の翌日は休館(8月12、13両日は開館)。関連企画として、今月5(土)26(土)両日午後1時からは、小山さんのギャラリートークを開く。要入館料で定員各30人。
問い合わせは同館(電0266・23・3489)へ。
(写真は、「岡谷産」の糸で織った着物と小山さん)